2013.06.02 Sunday

オディロン・ルドン@損保ジャパン美

損保ジャパン東郷青児美術館「オディロン・ルドン 夢の起源」2013.4.20-6.23

ルドン展@損保美

ルドンの作品については、Bunkamura ザ・ミュージアム「ルドンの黒」展で初めてまとまった数を観て以来、ちょこちょこといろんなところで出会ってきた。そのほとんが岐阜県美術館所蔵作品なので、ちょっと見慣れてしまったかもしれない(同じタイトルの画材違いやバージョン違いのようなものを誤解しているところもあるかもしれない)。そのせいで、これはという作品がないと、物足りなさを感じるようになっている。
本展でも岐阜県美術館のコレクションが中心だが、生まれ故郷にあるボルドー美術館から多数の作品が来ているので、いくぶん目新しさがあった。

黒の時代にも、色彩のある絵を描いている。油彩画《風景》やパステル画《ブルターニュの風景》はタイトルは風景だが、そこに描かれているのはおそらく心の風景でもある。
また、宗教や文学をモチーフにした《宗教的場面:キリストと使徒たち。アラスの礼拝堂装飾のための習作》《ロンスヴォーのローラン》《十字軍》などは、この時代の作品のなかでも象徴主義が感じられて魅力的だ。

黒の時代の版画たちには、シリーズ毎にそれぞれの特徴があると思う。個人的には石版画集『エドガー・ポーに』が好みだが、今回はこれら版画集については眺めただけ。
あと、版画集『悪の華』からも展示されているので、アニメ『惡の華』でボードレールの詩集に関心をもったのなら、ご覧になってみてはいかがだろう。

最後、「色彩のファンタジー」と題された展示。なんども観てきた作品については割愛するが、色彩のルドンはパステルの鮮やかさが合っていると思うので、パステルっぽい鮮やかな色で描かれた油彩画はまがいもののように見えてしまうのが微妙だ。
《アーケードのある背景の若い娘の肖像》はグレーの下地にサンギーヌという赤チョークがおだやかに調和していて美しかった。
最後を飾る《聖母》はルドンが永眠したとき、イーゼルに載せられていたという。空白部分があり、未完とされるが、果たしてほんとうに未完なのか。ルドンのなかでは十分に完成していたのではと思われるほど、美しく静かな色と豊かな精神性が溶け合っているようだ。もしかして、ルドンは黒から色彩を経て、ここに到達していたのではないだろうか。
ルドン_聖母


2013.05.11 Saturday

貴婦人と一角獣展@国立新美

国立新美術館「フランス国立クリュニー中世美術館所蔵 貴婦人と一角獣展」

タピスリーにはあまり興味はないけれど、これは見逃してはいかんのですよ。というのは、パリで寄ったのに、ストのせいで入れなかった苦い経験があるので、リベンジしなければならないのです。そのことについてはこちらで少し触れています。

貴婦人と一角獣展
展示室に入ってみると、天井が高くて広い空間が6枚のタピスリーで埋まっているのだから、驚きの大きさだ。

貴婦人と一角獣_触覚貴婦人と一角獣_味覚貴婦人と一角獣_嗅覚
貴婦人と一角獣_聴覚貴婦人と一角獣_視覚貴婦人と一角獣_我が唯一の望み
六連作タピスリー《貴婦人と一角獣》
有力者ジャン・ル・ヴィストが注文主とされ、旗や盾にル・ヴィストの紋章である3つの三日月が描かれている。獅子とユニコーンも同家に関係しているようだ。
《触覚》《味覚》《嗅覚》《聴覚》《視覚》の五感と《我が唯一の望み》がテーマになっていると考えられている。《我が唯一の望み》は愛や知性などと考えられているみたいだが、五感を描いた首飾りを小箱から出すところなのか仕舞うところなのか、このタピスリーから始まるのか終わるのか、謎に包まれている。
ひとつひとつに見どころが多く、飽きることがない。オレンジや松など4種類の木、文様にもみえる植物、五感を象徴したりもする動物たちなど。とくにウサギがたくさんいて愛らしい。ヤギも一頭だけいた。
よく見てもなかなかわかりにくいが、デジタル映像でアップで見ると、貴婦人の顔もずいぶん違う。正直あまり美しい顔じゃないところが残念ではあるが、全体を見ると、そんなことはまったく感じない。
構図もタピスリーへの収まり方がそれぞれに違って、例えば初め、《味覚》がいちばん美しいように感じたが、観ているうちに甲乙つけがたくなって、どれがいいのかわからなくなった。細かく観察するのもいいが、6枚を見渡せる中央に立ってぐるぐると自分が回っていくと、不思議な気分になるので、おすすめかもしれない。

ほかに彫刻、装身具、ステンドグラスなどが展示され、それが《貴婦人と一角獣》を観る参考になるので、関連展示を見てから、もう一度、6連作タピスリーの間に戻るといいだろう。

日本でこのタピスリーが見られるのはたぶん奇跡のようなことだろうから、せっかくのチャンスを逃さないようにしないと。パリで観ようと思ってもストで入れなかったりするかもしれないからね。


2013.05.04 Saturday

アントニオ・ロペス展@Bunkamura ザ・ミュージアム

Bunkamura ザ・ミュージアム「現代スペイン・リアリズムの巨匠 アントニオ・ロペス展」

アントニオ・ロペス展アントニオ・ロペス展2
季節もよく天気もいいので、自転車をちんたら漕いで観てきた。自転車はBunkamuraすぐ裏のアットパーク渋谷宇田川町に置いて、1時間100円で戻るつもりが、少々超えてしまい200円支払うはめに。ぬかった。

アントニオ・ロペスのことは名前くらいしか知らなくて、ルーベンス展に寄ったときに次回の展覧会と知り、ぜひ行ってみようと決めていた。
その理由はチラシの少女の絵に惹かれたからだ。これ一枚だけでもいいから、みたいと思った。

アントニオ・ロペス_マリアの肖像
アントニオ・ロペス《マリアの肖像》
長女9歳のときの素描。チラシでみたときにはまさか紙に鉛筆だとは思いもしなかった。コートの質感と重みが緻密だし、紙がセピア色のせいかもしれないが、てっきり油彩画だと思い込んでいた。近寄って見ても、鉛筆画とはにわかには信じられなかった。
少女の透明で理知的な眼差しから目を離すことができない。自分が描かれていることや、父親が描いていること、さまざまな感情を表情と佇まいのなかに見ることができる。「現代スペイン・リアリズム」というのは作風や技法のことを云うのではないということだ。
「ロペスは、素描を油彩画の準備段階としてではなく、完全に一つの独立したジャンルとしてみなしている」(Bunkamura ザ・ミュージアムの展覧会特集ページより)というのが、疑いなく感じ取れる、そんな完成度をもっている。
ふだんはポストカードくらいしか買わないのに、額絵とマグネットまで買ってしまった。いつも目の届くところに置いて眺めたいと思ったから。

素描はほかにもいくつかあって、なかでも《バスルーム》のリアルな美しさとその大きさには圧倒された。

アントニオ・ロペス_グラン・ビア
アントニオ・ロペス《グラン・ビア》
緻密に描かれた街の風景もすばらしいが、カラフルなものより、この作品のような、落ち着いた色味で統一されている作品に、より魅力を感じる。墨絵に通じる、静謐さのような。
《アビラのバラ》などにみられる余白も何やら東洋的な印象だ。
グラン・ビアに話を戻すと、ほかの作品にもみられるように、曲がった道に視線が誘導される風景に心惹かれる何かがロペスにはあるのだろうか。

アントニオ・ロペス_眠る女(夢)
アントニオ・ロペス《眠る女(夢)》
今回もっともインパクトを受けた作品。木彫による立体感が生々しくて、穏やかな寝顔に美しさがあるのに、気持ち悪く感じるほどだ。画像では何も伝わらない。


名前程度で漠然としたイメージしかなかったアントニオ・ロペスを心にしっかりと刻み込むことができた展覧会に感謝したい。
僕は《マリアの肖像》という一枚の鉛筆画の魅力にすっかり取り憑かれてしまったのだ。

2013.03.31 Sunday

ルーベンス展@Bunkamrura ザ・ミュージアム

Bunkamura ザ・ミュージアム「ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア」

ルーベンス展
ルーベンスがそんなに人気があるとは思ってもいなくて、訪れてみると、なかなかに混んでいてびっくり。バロックの巨匠とされるルーベンスが人気がないわけがないし、とくに日本では「フランダースの犬」でも有名なんだから、侮ってすみませんでしたー。
個人的には、ルーベンスの画風がとくに好きというわけではないし、ぶよっとした身体というか脂肪の表現がまあ、苦手なんですよね(その程度のことなんですが)。
ならどうして観に行ったのかというと、やっぱりルーヴル美術館で観た巨大な作品群に圧倒された記憶がいつまでも忘れられなくて、やっぱり観ておかないと、と思うからでしょう。そのときの記録はこちら→ルーヴル美術館(その2)

本展のみどころのうち、自分がもっとも興味深かったのは、ルーベンスの工房で作品がどうやって制作されていたかが展示をみていくとわかるようになっているところ。ティツィアーノに多くを学んだというのは意外だった。
工房作品には、ルーベンス自身が、例えば全体のうち人物だけを描いたもの、最後に手を入れたもの、信頼出来る助手にすべて任せたものなんかがあったそうだ。工房の助手たちにはルーベンスと同じように描くことが求められたというのだから大変だ。また、工房に所属していない作家との共同制作もあって、ルーベンスが確立した優れて効率的な大工房運営システムこそが成功の理由だったことが納得できた。

ルーベンスの魅力は、躍動感と生命力にあふれたダイナミックな構図にあると思う。ときに画面が散漫になって焦点がぼやけたりするのが難点だが。とにかく、大画面でこそ、ルーベンスの魅力が発揮されると勝手に思っているので、大きな作品があまりない本展はやはり物足りない。仕方のないことだとはわかっていますが。
それでも、《ヘクトルを打ち倒すアキレス》《復活のキリスト》等々、油彩画の多くが日本初公開らしいし、観る価値は十分だった。版画作品にも油彩画から取り入れられたものもあって、みどころは多い。

でもって、いちばんよかったかなと思うのはこちらの作品。ルーベンスじゃなくて工房出身者ですが。
ヴァン・ダイク_悔悛のマグダラのマリア
アントーン・ヴァン・ダイク《悔悛のマグダラのマリア》
顔立ち、表情、肌の色が美しいし、肉体の波打ち具合にルーベンス的なものを感じるけども、嫌な感じがしない。

ルーベンスが好きな方、「フランダースの犬」に想い出がある方、ダイナミックなバロック絵画に興味がある方、いろんな興味で出かけて行ってほしいですね。
グッズも充実していて、「フランダースの犬」関連のものもいくつかあって楽しい。目玉作品のひとつ《ロムルスとレムスの発見》から、三粒のさくらんぼを運ぶキツツキが図案化されてグッズにいろいろと使われていました。
レンブラント展キツツキ

2013.03.12 Tuesday

ラファエロ展@西美

国立西洋美術館「ラファエロ」 2013.3.2-6.2

ラファエロ展

ラファエロ展初日に行って来ました。って、もう10日も経ってる!(ブログ記事書かない癖がすっかりついてしまったので、もうやめようかと思ったりしたけど、どうにかこうにか書き始めて)。
当日は別の展覧会に行く予定だったんですが、間抜けな展開になって、急遽予定変更して西美に向かったわけです。
館内に入るといきなりの行列で!!となったのですが、これは講演会参加者の列だったみたいでほっとしたのも束の間、ロッカーが全然空いてない。結局、入場口横のロッカーを確保して、ふと下を見ると、そこにも行列が! これも音声ガイドの列だったので一安心。
初日午前中のこの混み方を考えると、むしろ今観ておかないと、後々大変なことになるかもしれないと思い、いざ入場。
結局、群がっている作品も少し待てば観られたので、それほど混雑というわけでもありませんでした(美術館HPにも「混雑が予想されますので、会期前半でのご来館をおすすめしております。」とありますが、春休み中も混むのでは?と思ったり)。

日本で初のラファエロ展ということで、どんな作品でも十分しあわせなところかもしれないけど、目玉作品はやはりこちらでしょう。
ラファエロ_大公の聖母
ラファエロ・サンツィオ《大公の聖母》パレティーナ美術館
”聖母子の画家”ラファエロの最高傑作の一つとされる聖母子画。
気品と慈愛に満ちた聖母の顔と姿と、凛々しい顔の子。これ1点で満足。聖母子は顔に尽きると思う。黒い背景は、本来室内だったものが後年に塗り潰されたという。室内の背景もきっとすばらしいのだろうけど、この黒の背景、聖母子に集中できて神々しさが際立っているように感じられたので、僕的にはむしろよかった。
その素描《聖母子》と何度も観比べて堪能しました。この素描が本画の雰囲気をすでに掴んでいて、惚れ惚れしました。

あと、最後に展示されていた、たぶんベリン・デル・ヴァーガ《聖母子》だったと思うけど(メモ取ってないので、間違っていたらごめんなさい)、今にも「綺羅星☆」ってやりそうな瞬間にしか見えなくて困った。(不謹慎ですみません。スタードライバーに毒されているもので)。

ラファエロの作品は地味に見えても穏やかな味わいがあって、どれもすばらしかった。
ヨーロッパ以外で大規模なラファエロ展が開かれたことがなく、いろんな美術館から作品がやってきているので、ぜひたくさんの人にみてほしいので、短い感想ですが、なんとか記録に残しました。


2012.12.29 Saturday

2012年の美術展ベスト3

今年もいろんなことがありました。なんてったって、ガンバ大阪がJ2に降格ですよ!
―ーって、そんな話は関係ない? 失礼しました。

では、今年1年に観た美術展のベストを決めてみよう。
ここ数年の傾向として年々出かける回数が減っていて(記事のなかみもスリム化されているのはご覧のとおり)、分母が小さいのでやはりベスト3あたりが適当かなと。そう思いつつ、つらつらとブログを振り返ってみると、これだけ少なくても3つを選ぶのがなかなか難しい。ってことで、次点も入れさせてください。めんごめんご。

(画像の大きさがばらばらなのは、サムネイルのサイズの違いなので、意味はありません。揃えたほうがきれいだけど、面倒なので、ご容赦を)

第1位
ボストン美術館_日本美術の至宝
これだけすばらしいコレクションが海外にあるってのが何よりもまず悔しいけど、ほんとに貸してくれてありがとう。どうせなら、せっかく里帰りしたんだから、このまま日本に残っちゃいなYo!って思ったくらい。

第2位
バーン=ジョーンズ展@三菱一号館美術館
ラファエル前派大好き。物語絵が好きだからというのもあるだろう。それが象徴的な物語であればあるほど空想癖のある自分には好きなだけ羽を広げることができるからかもしれない。なんてのはどうでもよくて、好きなんですよ。そうですよ、単純なんですよ。

第3位
ドビュッシー、音楽と美術
ドビュッシーと彼の周囲と時代の美術を結びつけるなんて、目の付けどころがいい。なんて偉そうなのは冗談として、ドビュッシーの音楽が好きで、象徴主義絵画が好きなんだから、間違いない。ブルーの内装が美しかったねー。

次点
レーピン展
レーピンの大規模な展覧会を開いてくれただけで感謝です。


今年1年、あまり展覧会には行かなかったけども、いいものをいくつかみせてもらったので、満足。たぶん来年もこの調子、もしかするともっと減っちゃうかもしれないけど、よろしくお願いします(こんな、めったに更新されないブログなのに、日々たくさんの方に見にきていただいて、心苦しく思ってます)。
それではみなさん、よいお年を!



2012.12.04 Tuesday

リヒテンシュタイン展@国立新美

国立新美術館「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」2012.10.3-12.23
リヒテンシュタイン展

会期終了が迫ってきたので、そろそろ急がないとひどく混雑しはじめるだろうからと、出かけてきた。

エントランス、バロック・サロンというように凝った展示を抜け、ルネサンスからはじまる名画ギャラリーに至る。

ルーカス・クラナッハ(父)_聖エウスタキウス ヴァン・ダイク_マリア・デ・タシスの肖像
ルーカス・クラナッハ(父)《聖エウスタキウス》アンソニー・ヴァン・ダイク《マリア・デ・タシスの肖像》
今回の展覧会でとくに気に入った2点。色や顔立ち、やはりぱっと目を引かれる作品に食いついてしまう単純な脳。
あとは、ルーベンス。巨大作品にはいつもながら圧倒される。来年のBunkamura ザ・ミュージアムでのルーベンス展が楽しみになる。

工芸品では《貴石象嵌のチェスト》だろうか。さまざまな色と模様をもつ石を螺鈿細工のように組み合わせて風景や花を描き、いくつも貼りつけた家具。精緻で気品あるチェストだ。
展示位置が高くて天井部分の細工が見えにくいのが難点。ガラスケースに鏡でも貼ってあれば、誰もが見やすかっただろうに。

バロック・サロンという、凝った展示方法があったり、お宝もってますよ的な展覧会で、好みが分かれるかもしれないけど、名品がいろいろ来日しているのはたしか。

ガンバ大阪J2降格決定のショックを引きずりながらも、気力を振り絞って行ってよかった。展覧会場ではただ夢中に絵画や工芸品に目を奪われ、ほかのことを考えることもなかったから。美術品バンザイ。


2012.11.24 Saturday

小村雪岱展@ニューオータニ美術館

ニューオータニ美術館で開催中の「大正・昭和のグラフィックデザイン 小村雪岱展」に会期終了間際に行って来た。
小村雪岱展201211

泉鏡花作品等の本の装幀や挿絵で人気を博した小村雪岱。日本美術科卒ではあるが、肉筆画よりも版画を好んだようだし、画家よりもデザイナーでありたかったようだ。
なかでも本の装幀は数が多いから当然かもしれないが、代表的な作品が揃う。しっとりと濡れたようなデザイン。著作をより豊かに高め合うようなデザイン。
初版本ほか初期の版の現物が展示されているので、単なるデザインだけではなく、本という完成品となっものがみられるようになっている。それにしても、本にかかわった人々の情熱が伝わってきて、その頃の本ってなんて幸せだったろうという気分にさせられる。

装幀、挿絵、舞台装置原画のほか、没後摺りの版画も展示。
小村雪岱_青柳
小村雪岱《青柳》
なんて美しい画面。これだけの景色なのに、さまざまな情感がこみあげてきて、画面に吸い込まれていく。細やかな神経で描かれた完璧な構図。傑作でしょう。

小村雪岱はひととともに作品をつくりあげ、そしてそれが多くの人の目に触れ、手にとられることに喜びを見出していたのではないだろうか。

小村雪岱展チケ
展覧会チケットがそのまま栞になる!
 

2012.10.07 Sunday

アンソール展@損保ジャパン美

損保ジャパン東郷青児美術館「アントワープ王立美術館所蔵 ジェームズ・アンソール ―写実と幻想の系譜―」

アンソール展
2012.9.8-11.11

仮面の画家アンソールに以前から興味があったので楽しみにしていた企画(だったが、以下の感想はがっかりの中身になっている。これは企画の問題ではなく、個人的な好みの問題であることはあらかじめお断りしておく。なので、この展覧会をみるつもりの方はこの先は読まないようにしたほうがいいでしょう)。
 
企画そのものは、アンソールがいろいろな絵画運動から影響を受けてさまざまな描き方に挑戦していたことがよくわかる展示になっている。
が、勝手な印象だけで云うと、この画家は技法とか見かけばかりにとらわれて、肝心の絵の表現が疎かになっているのでは、と感じた。外光主義とか取り入れようとした描き方などいろいろあれど、そうした表現の形式が、絵でなにかを表現するためのものではなくて、描き方や描く対象だけを追求しているというか、そんな感じ。とくに初期の写実的な絵を書いていたころに顕著だが、仮面や骸骨を描くようになっても、そんな印象が残っている。いずれにせよ、いろんな描き方を試しているわりに、どれも絵としての美しさがなく、魅力も感じられなかった。

仮面の作品がほんの数点しかなかったので、仮面の画家としての本領をみるまでには至らなかったが、もっと嫉妬や劣等感といった、負の内面がにじみ出るような作品を描いているのだと信じていた。ところが、数少ない仮面の絵からは、そんなものはやはり伝わってこず、やっぱり表面的という感じがした。
いつかたくさんの仮面や骸骨の作品をみる機会があれば、ぜひ出かけてみたいが、そうでなければ、アンソールは関心リストから外してもいいと思っている。

《陰謀》の左上にいる青い仮面の顔が、《首吊り死体を奪い合う骸骨たち》の右上にもいて、これを行ったり来たりしながら見比べて、おかしくて吹き出しそうになったことだけは記しておこう。この2点があったおかげで退屈せずにすんだのだから。


2012.09.17 Monday

特撮博物館@MOT

東京都現代美術館「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の特撮」

特撮博物館
2012.7.10-10.8

少年は特撮に夢を見る。わくわくしながらTVやスクリーンの前に座る。大人は熱意を胸に、さまざまな工夫を凝らしてミニチュアの世界を拡げる。そんな熱気をそのまま持ち込んだ企画に、少年時代の記憶が甦る。あの特撮全盛期に少年時代を過ごした少年たちの多くがSFファンなのは決して偶然ではない。少女は?

『巨神兵東京に現る』 企画 庵野秀明 巨神兵 宮崎駿 監督 樋口真嗣
あの巨神兵が東京を焼き尽くす短編特撮映画が実写で観られるなんて。
それもCGは一切使わず、ミニチュアを駆使して、そこに新たな知恵を加えて。メイキング映像と併せて見ると、まさに特撮への愛と誇りを感じさせてくれる。派手なCGよりよっぽどリアリティが感じられる。製作は大変だろうけど、やはり手作り感(作られたものにこもっている情熱)が半端ない。こんなの見せられた日にはもう。

特撮美術倉庫のそれっぽい雰囲気、それに撮影可能だった最後のジオラマ「特撮スタジオ・ミニチュアステージ」には興奮したなあ。
あのジオラマの雰囲気をもう一度味わいたい!という方はtkd011さんがアップしているYouTube動画「特撮博物館のジオラマ」あたりをどうぞ。

特撮博物館には愛と熱気が溢れていました。あまりに混んでいて、なかなかゆっくり観られなかったのが心残りではあるけども。会期早めに行くべきでしたね。



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