根津美術館に尾形光琳の《紅白梅図屏風》をみに行ってきました。
尾形光琳300年忌記念特別展「燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密」
2015年4月18日-5月17日
会期が短いのでぼやぼやしていると見逃してしまいそうだったので、初日に参上。
久しぶりの晴天そして爽やかな風ときどき強い風。美術品をみて庭を散策するには最高の日和。ただし、カキツバタの花はまだ咲いていない、そして檜やイネ科植物なのか、花粉が舞っているようで、美術館に着いたとたんにクシャミを連発するはめに。
いまだMOA美術館に足を運んだこともなく、《紅白梅図屏風》をみるのはまったくの初めて。しかも《燕子花図屏風》とともにみられるという絶好の機会が訪れたのだから、幸運です。
尾形光琳《紅白梅図屏風》
若々しい紅梅と老いた白梅が左右に配置され、まんなかにまるで蒔絵の壺のような流水が迫力ある姿で表現される。金箔のような背景は、《燕子花図屏風》 と同じように金泥で描かれている。図版や画像で何度となく眺めてきた屏風だが、実物は勝手に思い込んでいたものよりもずっと落ち着いていて、気品に満ちていた。
その他の展示品のキャプションにもあったが、光琳は俵屋宗達の作品に学ぶなかで、よりデザイン性とリズム感を高めていったようだ。その分、宗達がもつダイナミックな表現が抑えられているように思う。このへんが好みの分かれるところなのかもしれない。
伝俵屋宗達《蔦の細道図屏風》
単純なモチーフと構図で大きな空間を美しく描いていて、光琳とはまた違った宗達デザインの妙が感じられる。左隻と右隻を入れ替えてもつながるという発想が心憎い。たしかにこの屏風が《燕子花図屏風》に通じるというのも納得。
光琳のデザイン性を生み出した雁金屋の図案等の展示も、光琳を形作るもとがこういうところにあるのかと改めて感じさせてくれるものだった。
尾形光琳芸術の秘密をたどる展示、とてもすばらしいもので、とくにメインの展示室はまさにしあわせ空間でありました。