ブリヂストン美術館で開催中の「
カイユボット展―都市の印象派」(2013.10.10-12.29)は、なんとも魅力的な展示構成だった。
ギュスターヴ・カイユボットを印象派の重要作家として位置づけ、画家によって描かれた移りゆくパリの姿や自然の風景に、同様にそれらの風景・光景をおさめた弟マルシャルの写真、さらに親交のあった印象派画家たちの作品を交えて、都市と郊外と人々の生活が織りなす時代を鮮やかに浮かび上がらせた。
“カイユボットの近くに写真があった”ことが強調されていたように、カイユボットはカメラによって切り取られたものと自分自身の目が捉えたものを照らし合わせ、組み合わせたりしながら、構図を練ったのではないかと思えた。
この兄弟の作品から受ける印象は、経済的な憂いなく、暮らしを人生を楽しんだ、おだやかな生活である。そのおだやかで誠実で親密な視線が街や人々に向けられている、そんな作品たちにたまらなく惹きつけられる。
床にパリの地図を敷いて、カイユボット縁の地点にデジタル・ディスプレイを配置した、パリ部屋とでもいうべき展示室まで据えられ、画家たちの作品、写真、現在のパリの写真によって、私達はパリへと誘われる。