山種美術館で始まった【特別展】生誕120年
「福田平八郎と日本画モダン」(前期)をみてきた。
福田平八郎の形と色面による画面構成はとても魅力的。楽しみにしていた展覧会。
夕方、到着してみると、とても空いていて快適にみることができた。混む時間帯は去っていたのかもしれないけれど、それにしてもちょっと少なくて寂しい気もした。
福田平八郎《筍》
何度みても惚れ惚れする。ずっしりと存在感のある黒い筍がふたつ、白描のあっさりとした落葉に覆われた地面。この絶妙の構成にうっとり。淡い色づかいながら目に眩しいほど豊かな色彩。これをみると、カラリストと云われる所以はこういった、色への繊細な感性にあるんだろうなと感じる。
福田平八郎《彩秋》
さまざまな色が合わさって柿の葉が色づくさまを鮮かに描き出した美しさ。あっさりしたすすきが彩りとは対照的に秋の風味を添えている。《筍》とはまた違った意味でカラリスト平八郎の魅力がある。
個人的には、《漣》に始まる40代以降の作品に好きなものが多い。デザイン画風でもあり、展覧会タイトルにも使われているモダンさがあって、心が晴れやかになるから。
福田平八郎以外の日本画モダンとして紹介されている作品のなかでは、徳岡神泉《芋図》が以前からとてもみたいと思っていた作品。シンプルすぎるほどの背景に深い味わいのある葉が真ん中の線に並んでいて神泉らしい。
徳岡神泉展もやってほしい。
ほかにもいろいろあって、日本画モダンという造語のくくりでいうと、こういう感じになるのか、と。
展覧会図録は、いつも手元に置いておきたいようなきれいな装丁。こういう小さくてお手頃価格の図録は非常にありがたいです。
ところで、この展覧会でいちばん楽しみにしている福田平八郎《雨》は後期展示。必ず後期も行きますよー!
【補足】
この日、「日本画モダン」を名付けた山下裕二氏の講演会がこの後あったので、みなさんそれに合わせて出かけたから空いていたのかな? 自分は用事があって、その時間までとどまることはできませんでしたが。