三菱一号館美術館《グラン・ブーケ》収蔵記念
「ルドンとその周辺―夢見る世紀末」2012.1.17ー3.4
4年半前にBunkamuraザ・ミュージアムでみた
「ルドンの黒」展と同じく、ほとんどの作品がルドンのコレクションで知られる岐阜県美術館の所蔵品。
と、振り返ってみて、自分の好みが基本的に変わっていないことに気づいた。今回のみどころは「色彩のルドン」であるわけだけど、「ルドンの黒」のときに気に入った色彩豊かな作品たちに今回も心惹かれたから。
三菱一号館美術館の新収蔵品となった《グラン・ブーケ(大きな花束)》は城館の装飾画として依頼された大きなパステル作品。他の作品とともに飾られていた姿はどういうものだったかは想像するしかないが、その鮮やかさがその場所を際立たせていたのは間違いないだろう。ただ、単独でみると、花が上から下まで画面を埋めていて、うるさい印象だ。
オディロン・ルドン《青い花瓶の花々》
《グラン・ブーケ》と比べると、大きさの違いは別にして、おさまり具合が心地よいし、テーブルをはっきりと描いていないせいで、空間の広がりを感じる。色の美しさは言うことなし。
左:オディロン・ルドン《神秘的な対話》
右:オディロン・ルドン《翼のある横向きの胸像(スフィンクス)》
ルドンの黒は、自分の内面と向き合う作品群。ルドンの色彩は目を外に見開かせる作品群。まあそんな単純な区別なんて意味ないけども、そういうベクトルの違いを感じる。やっぱり好きなのは色彩、とくに鮮やかなパステルに魅力を感じる。
ルドンに影響を与え、与えられた周辺の象徴主義画家たちの作品も充実。象徴主義好きにはうれしい。
エミール・ベルナール《ポンタヴェンの市場》、ポール・セリュジエ《森の中の焚き火》のほか、モロー、ドニなど、まさに「夢見る世紀末」かも。
ギュスターヴ・モロー《聖セヴァスティアヌスと天使》
ルドンとその周辺が気になるなら、ぜひお出かけください。