千葉市美術館「生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌」2011.10.10-11.13
この美術館はやや遠いので、これまで面白そうな展覧会があっても、いつも二の足を踏んでいたが、抱一と江戸琳派なぞを掲げられた日には、重い腰を上げねばなるまい。本来なら東博所蔵の《夏秋草図屏風》が展示される11月に入ってから行きたかったのだが、この秋は珍しく予定がいろいろ詰まっていて、かつ日本画の短い会期のことを考えると、行けるときに行っておかないと、ということで決断。
初の千葉市美術館。まあ、普段の行動範囲からすると若干遠いうというだけで、行ってみればそれほどでもなく、十分楽しく過ごせました。
うわさには聞いていたものの、想像以上の規模にびっくり。酒井抱一とその弟子たちの活動はもちろん、抱一を取り巻く人々の活動から抱一以後の江戸琳派まで充実していた。
すばらしい作品が目白押しで、すごい密度。これに《夏秋草図屏風》をはじめ、自分が大好きな作品が一堂に会していたら言うことなかったのだが。
今回いくつか挙げるとなると、なかなか難しいが。
酒井抱一《四季花鳥図屏風》(陽明文庫)
繊細な仕事ぶりと流れるような画面構成にただよう詩情。抱一が達した到達点のひとつだろう。
酒井抱一《十二ヶ月花鳥図》(三の丸尚蔵館)
抱一の「十二ヶ月花鳥図」は、初めてみたプライス・コレクションほか数種類あるが、三の丸尚蔵館蔵のそれは構図や技法からみて、完成度がかなり高いほうではないだろうか。
ほかに《槇に秋草図屏風》(細見美術館)、《月に秋草図屏風》、《兎に秋草図襖》(三井記念美術館)など。
また、鈴木其一ら弟子や、後の世にまで伝わる江戸琳派の全貌を振り返ってみると、抱一にとっては不本意な出家だったかもしれないが、脈々と続く画業のうねりを生み出したという意味で、同時代人にとっても後世の人々にとっても幸せなことだったのではないかな、と勝手に解釈。
とにかく見逃せない展覧会。
展覧会を堪能した後はレストランかぼちゃわいんで遅いランチ。おいしゅうございました。
初めての千葉市美術館。お世話になりました。