東京都庭園美術館 「森と芸術ー私たちの中にひそむ森の記憶をだどってみようー」 2011年4月16日―7月3日
行ってみたいと思ったのはチラシになっているポール・セリュジエ<ブリュターニュのアンヌ女公への礼賛>に惹かれたから。で、ホームページを覗いてみたら、魅力的な作品がいくつも掲載されていて、迷わずGOとなった。
森をテーマに国内各地から西洋美術を集めた、まるでおもちゃ箱のような展覧会。
15世紀から現代まで、版画、油彩画、絵本挿絵から写真、ガラス器まで、さまざまな作品がひよこっと現れて目を楽しませてくれる。
作家たちもすごい。デューラー、ドレ、ゴーギャン、ファンタン=ラトゥール、クールベ、ルソー、コロー、ピサロ、モロー、バーン=ジョーンズ、ガレ、ドニ、アンリ・ルソー、ボーシャン、マックス・エルンスト、マグリット、岡本太郎・・・・・・国内にこんなにあるなんて。
自然の森、人工の森、伝説の森、神話の森、物語の森、内なる森、さまざまな森がさまざまなスタイルで描かれ、作られていて、驚きの連続というか、わくわくの連続。
第4章 アール・ヌーヴォーと象徴の森
ひと目でそれとわかる、ギュスターヴ・モロー<恋するライオン>(原画)(『ラ・フォンテーヌの寓話』より)が目に飛び込んできて、続いてエドワード・バーン=ジョーンズのリトグラフ(『フラワーブック』より)。エミール・ガレのガラス器、陶製置物、そして<花文棚>はまさに花鳥風月。
モーリス・ドニ<聖母月>
ドニらしい色使いと温かみが画面から溢れ出していて、あったかい気持ちに。
第5章 庭園と「聖なる森」
ここの写真たちも魅力的。イタリア・ボマルツォにある怪物公園と呼ばれる庭園の怪しげな石像が川田喜久治によってさらに妖しげに切り撮られている。
第6章 メルヘンと絵本の森
森を舞台にした絵本たちが楽しくて見入ってしまう。この章に限ったことではないけども、やっぱり物語性のある絵が好きなんだと再確認(この場合は、挿絵なんだから物語絵なのは当たり前だけど)。
画風は違ってもどれもこれも緻密で野心的、そしてなによりロマンティック。
ギュスターヴ・ドレ<赤ずきんちゃん>
エドモン・デュラック<雪の女王>
森をテーマにした豊な展示が庭園美術館という素晴らしい環境と相まってさらに雰囲気が高められている。
ほんとうになんてすばらしいひとときだっただろう。まちがいなく今年に入っていちばん楽しんだ展覧会だ。