赤坂見附の
ニューオータニ美術館で
「謎のデザイナー 小林かいちの世界 伊香保 保科美術館コレクション」展をみた。
このチラシを初めて見かけたとき、「あっ、小林かいちの展覧会あるんだ〜、みにいこう」と思ったのだけど、よく考えてみたら、「あれ?オレ、なんで小林かいちのこと知ってんだろう?」。いつ、どう知ったのかまったく記憶がない。チラシに掲載されているデザインを見て、小林かいちだ、と思ったのは確かなので、どうにか知っていたことは間違いないんだけど。長らく忘れ去られていたという解説を読んで、余計にそう感じたのかもしれない。
小林かいち(本名:嘉一郎、1896〜1968)は、近年注目されつつある京都の図案家です。
大正時代の後期から昭和初期にかけてのおよそ10年、絵はがきや絵封筒のデザインを数多く手がけました。 木版によるそれらの作品は、ピンクやブルーによる独特のグラデーション、赤と黒などの明快な色の対比の中に、女性像やハート、植物、月や星、トランプや十字架などを配したモダンなもので、現代にも通用する色彩感覚、デザイン力といえるでしょう。
《夜の微笑》 《星は悲しむ》
色彩が美しく、繊細で華麗なデザインだけど、ややメランコリック。そんな印象。デザインは工夫が凝らされ、たくさんの作品があっても、全然パターン化されていないのに驚いた。
アンナ・パブロワのバレエの姿から着想を得たのかもしれないとされた図案があったが、いろんなものから刺激を得ながら、着想していたのだろう。
個人的には、廃墟のような建物の図案もすばらしいが、やはり女性の姿が描かれたものが叙情的でとても美しく感じられた。とくに、顔や姿がアップになったものではなく、雰囲気をたたえた、デザイン化された姿にぐっと魅かれた。
デザイン好き、例えば竹久夢二なんかが好きなら、文句なしに気に入ると思う。僕は断然気に入ったので、ついつい絵はがきセットと絵封筒を買ってしまった。でも、絶対に使えないだろう。
展覧会では実際に使用された封筒やらが展示されていた。どのデザインも美しいけど、決して明るい雰囲気ではないし、内容を選ばないとなかなか使うのが難しいだろうなー、なんて、使わないくせに心配になった。