講談社野間記念館で
「近代日本画の輝かしい足跡。帝展期の東京画壇」をみた。
ようやく今年の美術展初め。遅い出足になった。
年末年始にのんびりしすぎたツケが回ってきたのか、仕事始め直前に風邪をひいてしまい、だらけすぎた罰だと思っていたところ、インフルエンザだったことが判明。自分には関係ないことのように思っていたので、まさかという感じだった。
まあ流行に敏感な僕としてはやはり世間で流行る前にかかっておかないとね。などとバカなことを言っている場合ではないけど、僕がかかったA型だけでなく、B型も広がり始めているらしいので、みなさん、こういう流行には乗らないようにしてくださいな。
美術団体の系譜についてはよく知らないし、あまり興味もないけど、とにかく、帝展(帝国美術院美術展覧会)が開かれていた1919年から1935年の時期に活躍した東京画壇の作家の作品が展示されている。名前を初めて聞く作家も結構いた。
山川秀峰《蛍》
夕暮れの空気漂う上品な美人画。美しい女性たちの顔はとてもよく似ていて、画家の夫人がモデルともいわれているらしい。
美しい着物の柄や飾りの細部まで丁寧に描き込まれていて、ところどころ立体的に厚塗りされたところが目を魅く。
荒木十畝《黄昏》
光と色の濃淡がたそがれどきの気分に包んでくれる。とくに群青の微妙な色合いが目にやさしく、そこに淡く輝く月と艶やかに白い猫が映える。
荒木の作品にはこれまでいろいろとみているけど、とくに気になることもなかったのに、この作品のもつ雰囲気にはすっかり参ってしまった。こういうことがあるから、絵をみにいくのはやめられない。
山口蓬春《四季花鳥》(部分)
春に桜、夏に柳、秋に萩、冬に蓮の四画面のうち、これは夏。
幹と枝、葉に鋭い切れ味のリズムがある柳にとまるのは五位鷺か。鋭い眼光で獲物を見定めているのだろうか。どの画面にもピーンと研ぎすまされた緊張感が漂っている。
島田墨仙《白狐》
描き方そのものはあまり好きはないけど、樹々と狐、人を配した画面構成が抜群にすばらしくて、強く印象に残った。下手な絵を描くときに画面構成の難しさをいつも実感しているせいで、余計に気になったのかも。
十二ヶ月図の色紙が揃えられた展示室は、十二ヶ月美人図の並びという感じでおもしろかった。
山川秀峰《十二ヶ月図》は、花鳥ではなく、美人たちの風俗画になっている。とくに「八月、浴後」の爪を切る姿がユニークで印象的だった。
松岡映丘《十二ヶ月図》の、遠景と美人の組み合わせというのが珍しく、ひときわ目を魅いた。
帝展はさておき、わずか15年ほどの間にたくさんの作品が生まれ、そのなかから野間のコレクションとなった作品たち。今年の美術展初めが日本画からになったのは偶然だったかもしれないけど、いろいろな作品に出会えて、遅ればせながら、どうやら楽しい一年が送れそうな気分にさせてもらえた。