プラハ室内歌劇場のオペラ、ロッシーニ『セビリアの理髪師』を
所沢市民文化センター ミューズアークホールで観た。
ミューズは初めてだったけど、アークホールはなかなか立派でおしゃれなホールだった。
もともとオペラなどの上演は想定されていないのか、幕がなく、管弦楽団も客席と同じ高さに張り出していたので、ちょっとどうなのかなと思ったけど、なんか親密感があってかえってよかった。
マルティン・オタヴァの演出はそれを意識したものなのか、それとももとともそういう演出だったのかわからないけど、客席を自由に使って奇抜で楽しいものだった。幕がないところも、舞台装置の移動をあえて見せることで観客に知らせるのだけど、スムースに流れに乗っていたのでまったく違和感がない。
プラハ室内歌劇場管弦楽団の演奏は奏者の技量の高さが十分に感じ取れるもので、とてもよくまとまっていた。マルティン・マージクの指揮も小気味よくて好感が持てた。歌手たちとの絡みもあって面白かった。
歌手たちは慣れているのか余裕があって安心して見ていられた。
個人的には、アルマヴィーヴァ伯爵を演じたオトカル・クレイン(テノール)と音楽教師バジリオ役のイヴァイロ・グベロフ(バリトン)が、とくに声に伸びと艶が感じられて気に入った。
演出は笑って楽しんでもらうために十分に練られたもので、群像喜劇を観ているような緊張感とリズムがあったので、心から楽しんだ。2幕の展開がやや性急だったのが、唯一残念な気がしたところだったけど、それもちょっとしたこと。
観てよかったと思える楽しいオペラ・ブッファだったので、所沢まで足を運んだ甲斐があった。