「芳年『月百姿』を主に月の浮世絵展」(後期)を
礫川浮世絵美術館でみた。
「AYAKASHI 江戸の怪し」展ですっかり月岡芳年に魅了され、寄ってみたのだが、とても小さな美術館とはいえ、なかなか盛況だったから驚いた。
「月百姿」は芳年晩年の傑作シリーズとされる作品群で、どの作品にも人々の営みを見つめる月がそれぞれ印象的に描かれている。
月岡芳年《神事/残月(旧山王祭)》
この絵にはとても魅かれる。大胆な構図と鮮やかな色。江戸三大祭のひとつ、山王祭の様子が描かれているところも気に入った(とても個人的な好み)。月が魅力的。
月岡芳年《舵楼の月 平清経》
またも似たような構図を選んでしまった。この作品、一見するととても静かな印象なんだけど、舟の上では左から右に強い風が浮いている。なのに波は立っていないという不思議な絵だ。
月岡芳年《貞観殿月 源経基》
平氏ときて源氏。至近距離から鹿に矢を射ったところなのだが、なんなんだろう、なんとも言えない独特の動きと迫力がある。
ほかにもまったく違うタイプの作品がいろいろあって、芳年の魅力を堪能できる展覧会だった。「月百姿」の100点すべてを一度にみたいと思うけど、もっと広い美術館に期待するしかない。