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2007.06.30 Saturday

「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」をみて

東京国立近代美術館で「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」をみた。
20世紀を代表するフランスの写真家の写真作品に関連資料、油彩、素描まで加えた約450点で構成されるかなり大規模な展覧会。ヨーロッパ以外では初めての巡回。
ブレッソン展チラシ ブレッソン展チラシ裏

初の写真集『逃げ去るイメージ』(1952年)のアメリカ版タイトルとなった『決定的瞬間』で知られる写真家だが、「逃げ去る」「すり抜ける」といったニュアンスのほうがより原語に近いらしい。「決定的瞬間」が一人歩きしていることには本人にも戸惑いがあったようだ。
たしかに代表的作品《サン=ラザール駅裏、パリ、フランス》をみると、決定的瞬間という言葉に合うようにも思えるが、個人的には「すり抜ける」という感覚のほうがずっとしっくりくる。それはどの作品にもいえる気がする。

カルティエ=ブレッソンの写真とは何だろうと考えながらみていった。
まず感じたのは「人の営み」への強い関心。そして人の営みや感情が都市や自然の一部になった瞬間を写真家が切り取っていくイメージが漠然とやってきた。それらが調和したり、一体になったり、反発し合ったり。
人が写っていない作品も少ないながらいくつかあったが、そこにも人の営みが漂っているように感じられた。

この展覧会の目玉は、ヴィンテージ・プリントだろう。本人がプリントした数十点もの作品がまとまって公開されるのは日本では初めてだそうだ。
写真教室にしばらく通っていたことがある。プリントの難しさを体感しながら、素人なりにその奥深さも垣間見た。それだけに、自らプリントしたものにはその人の技術と同時に、意図が色濃く反映されるので、じっくりと眺めてみた。
これらヴィンテージ・プリントと同じ作品が会場にいくつか展示されていたので、比べてみた。プリント時期による違いももちろんあるが、ヴィンテージのややもやっとした階調が印象的だった。《サン=ラザール駅裏、パリ、フランス》もある。

美術ファンなら、画家たちの肖像が興味深いのではないだろうか。
ピカソ、マティス、ボナール、ルオー、ブラックの顔や姿をみて、その絵画作品に重ね合わせてみる。
作家の肖像もあったが、若かりしカポーティのとんがった風貌がとてもかっこよかった。

晩年に取り組んだデッサンもたくさん紹介されていた。出版物向けにのリトグラフ《パサージュ・ショワズール、パリ》(1993年)の、パサージュという動かないものに激しい動きがあるところなど、作家の個性が強く感じられる作品もあってなかなか楽しめた。
「写真とは瞬時の動きであり、デッサンは思索なのだ」という言葉が心に響く。
最後の絵画作品のコーナーになると、それまでの混雑がウソのように静かな空間になってしまっていたけど。

いくつかブレッソンの写真集をもっているが、お気に入りはこちら。
Europeans
Europeans


引き続き「所蔵作品展 近代日本の美術」をみたのだが、写真コーナーでは、アンリ・カルティエ=ブレッソンに刺激を受けたという木村伊兵衛が特集されていたので、比べてみるのにいい機会だった。


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