開館時間に合わせて
マルモッタン美術館に向かいました。
このあたりは高級住宅街とのことで、閑静な佇まいです。公園を抜けると目指す美術館が街並みの一角を占めています。
地上階をくるっとみて、地下に下りようとするところに、モネのパレットが展示されていました。ドラクロワの規則正しいきっちりした絵具の配置とは正反対でした。
地下にはモネの作品だけ数十点が展示されています。先客は1人だけ。その人がいなくなるとほんのしばらくですが貸切になりました。
《印象・日の出》。印象派にとっての記念碑的作品といえるものですね。これまで印刷物などでみたかぎりは微妙な印象で、実物をみないとなんともいえないなと思っていた作品ですが、実物はとてもすばらしかった。美しいし、日の出の頃の港の雰囲気、空気というものが感じられます。
《アジェンチュールそばの散歩道》。相変わらず人の顔ははっきり描かれていませんが、風景に自然に溶け込んでいます。雲が散らばる空が美しく光っています。
《ヨーロッパ端、サンラザール駅》。色と形が見事に混ざり合って、産業が発展しつつある雰囲気を伝える見事な作品だと思います。
《小舟》。近くでみると、水面下の植物がもやもやとしていてしつこい感じなのですが、離れてみると本当にきれいです。小舟の位置がとてもいい。
《睡蓮、夜の趣き》。これもすばらしく美しい睡蓮。近くでみてもわりとはっきりしている作品ですね。
このホールでは、だいたいの作品を結構離れてみることができます。なので、とにかくみえる範囲でいちばん遠くまで離れてみました。離れるほどに絵は輝き、水は輝きと透明度を増します。しばらくみていると、絵がじわじわと物語を語り始めるようでした。
続いては2階に上がります。と、ガーン!
そういえば美術館の建物に浮世絵のポスターが掛かっているなとは思っていたのですが、浮世絵の特別展だったのです。やれやれ。
たしかに印象派で知られる美術館ですから、ある意味納得ですけど、マネ、ルノワール、コロー、シスレー、ピサロ、モリゾ、セザンヌらの作品がみられるはずだったのに。ここのコレクションには、マネ《横たわったベルト・モリゾの肖像画》、ルノワール《ジュリー・マネの肖像画》やモリゾが描いた夫と子どもの絵などもあるらしいのですが。またもや宿題が増えました。
さて、浮世絵展。
北斎、広重、写楽、晴信、国芳などのおなじみさんに加えて、浮世絵ではありませんが、尾形光琳もありました。
それでも、この階には地元の人なのか、フランス人女性が集まってきていて、浮世絵をみながら熱心に語らい合っているのをみるというのはなんだかうれしいものです。
日本語版のコレクション集とポストカードなどを買いました。