Bunkamuraザ・ミュージアムで過去2回開催されたソール・ライター展は観ていない。2回目については観たかったけど見逃してしまっている。というわけで今回こそはと、会期末間近になってしまったけど、昼間の暑い時間帯に出かけてきた(駅直結なので安心)。
なんとなく、ニューヨークのスナップ写真を撮っていた写真家というイメージ。
スナップ写真に加えて、ファッション写真や、ナビ派に影響を受けた油彩画もあって充実の展示。まだまだ整理が終わっていない膨大な素材があるらしい。
ニューヨークの日常を切り取ったスナップ写真のひとつひとつに格別驚くべき仕上がりというのは感じなかった。が、日常にある一瞬のきらめきが、いくつもまとまると、かたまりとして人々の営みが生き生きと伝わってくる。本質は、画作りを意識するよりは心のままにシャッターを切ったスナップ写真なんだろう。
写真撮影が可能だったので、カメラを向ける人たちの動きで人気を集める作品が目について面白い。
早くからカラー写真に取り組んでいたというだけに、色に目を惹かれるものが多くて、色の感性が高い。個人的にもモノクロ写真よりカラー写真に魅力を感じるものが多かった。
ファッション写真でも、造形物や場所とポーズとの組み合わせに斬新さがあって、人と人、人とモノのような関係性に面白味を感じていたのではないかなという気がした。
最近では珍しくポストカードを買った。うまく配置して飾ってみたい。
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フライトは19時で余裕があるけど、ちょっとふらふらして早めに空港に行くことにした。
ホテル近くで朝食、支度してチェックアウト。
何度もメトロを利用したけど、今回寄らなかった、見応えあるらしい駅に寄り道。
エレクトロザヴォツカヤ駅。電灯が壮観です。
メトロといえば、メトロにバスや市電まで市内の公共交通機関に乗り放題の3日券(438RUB)を2回買って乗り倒したわけだけど、ガイドブックにあった4日から7日の券というのはないようだった。
メトロでグム百貨店近くまで移動し、グムのスタローヴァヤで時間をつぶすことにした。
グムに入るのにスーツケース開けさせられたよ!
食事もよかったけど、集まってくる内外の人々をウォッチしているのがとにかく楽しい。
そんなこんなでそろそろ空港に向かう時間になった。
来たときと同じくアエロエクスプレスでシェレメチエヴォ空港へ。
空港には3時間以上前に着いたのに、オンラインチェックインをしていない人が多いのか、荷物が多すぎるのか、チェックインの列が進まず、荷物を預けるまでかなり時間がかかった。さっさと預けて買い物やお茶しようという目論見が。
出国審査そのものはそれほど時間はかからなかったけど、ターミナルが変更になったとかでそうとう遠くまで歩くことになり、搭乗口に着いたのは搭乗時間ぎりぎりだった。相当早めに来てこれだから、この時点で間に合ってない乗客がけっこういたはず。
ところが飛行機がロンドン発で遅れていて、搭乗口も変更になったりで、結局出発は3時間遅れに。へとへとだよ。
でもそのおかげで、とりあえずお茶する時間が出来ました。
さようならモスクワ。いい旅でした。また来るよ。
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ホテルからメトロで少し足を伸ばしてベーカリーカフェで朝食。
メニューにモーニングセットのようなのがあったので頼んだら、土曜日はないと言われた。セットメニューでなく単品で揃えることに。
そこから、観光客に人気のアルバート通りに移動。
観光客に人気のアルバート通りから一本裏に入ったところには建築家コンスタンチン・メーリニコフ邸がある。
今回建築めぐりはできなかったけど、せめてここだけは見たいと思っていた。
とてもユニークな家だ。実物をこの目で見るという長年の夢が叶ってうれしかった。
ツォイ・ウォール。
ソ連時代の人気バンド「キノー」のヴォーカル、ヴィクトル・ツォイを讃える落書きだらけの壁。アルバート通りの脇にあって、団体ツアーで来ている観光客もいてびっくり。
そのままアルバート通りを横切った小路の先に、今度はスクリャービンの家博物館。スクリャービンはこの家で暮らし、作曲していたのだ。説明によると、彼は音で色を見る共感覚者だったそうで、それを見せる装置も展示されていた。
この博物館を訪れていた間は貸し切りでした(帰りがけに青年が一人やって来た)。
ここからそのまま小路を抜け、スーパーの裏口から表に出ると新アルバート通り。そこにモスクワ最大規模の書店ドーム・クニーギがあって、本や雑貨のお土産を調達しようという算段。
買い物の前にまずコーヒー休憩。書店にある喫茶コーナーはゆったりとしていて、みんな思い思いに過ごしている。さすがに本を読んでいる人が多い。隣には舞台があって、その脇では子供向けのワークショップのようなイベントをやっていた。
ドーム・クニーギで文房具やCD、雑貨、本を入手。いちどホテルに戻って荷物を置き、着替えてバレエへ。
ボリショイ劇場の隣りにあるロシアアカデミックユースシアター。
ここで「白鳥の湖」を観る。
「白鳥の湖」で休憩1回(通常は2回)という効率的な舞台だったけど楽しかった。
ロシアに来たら一度くらいこういうのに触れないとね。
終演後はもう夜。ボリショイ劇場のライトアップがきれいだった。
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奥に見えるのがこれですね。
古代の彫刻からエジプト美術、ルーカス・クラーナハ(父)にイコンの数々、そしてゴーギャン、マネ、セザンヌ、マティス、ピカソまで、圧倒的な物量で攻めてくる。観ても観ても終わらない。
ピカソやゴーギャンの作品も多いが、とくにマティスの充実ぶりがすごい。ついついたくさん写真も撮ったけど、そうそう載せられないのでほんの少しだけ。
結局21時の閉館まであっちこちさまよってしまった。
外に出ると北の国でもさすがにもう真っ暗。
ホテル近くに戻り、遅い夕食は昼と同じパン屋カフェの別の店で。ビールを頼んだらパスポートを確認させろと言われて驚いた。アルコールを売るには年齢確認がいるからだけど、今回の旅で初めてだった。いくらアジア系が年齢不詳に見えるとはいえ、一体何歳だと?
こうして夜は更けていったのであった。
]]>きのうが暑かっただけに少々こたえる。
その後ボリショイ劇場の前を通って、隣の建物にあるチケット売り場でバレエのチケットを買う。
8月はモスクワでオペラやコンサートは全然やってないので、せめてバレエでもというわけ。結論からいうと、当日券はもうなくて翌日の「白鳥の湖」がとれた。若手のバレエフェスらしい。
そこからプーシキン美術館に行ってみると、入場待ちの長蛇の列にビビる。方針変更して別館に回ると、ルイ・ヴィトン財団コレクション展が開かれていたので、本館別館両方が観られるチケットを買って入場。
ゲルハルト・リヒター、アンディ・ウォーホルから数々の現代作家の作品がヴァリエーション豊か。空いていたので気ままに観られる。
さて、本館の方は変わらず行列しているので、バレエが明日になったのをいいことに、夜に再挑戦することにして、散歩することに。
トヴェルスカヤ通りより西側のニキツキー大通り沿いのモスクワ音楽院大ホール。上原ひろみの10月4日ソロ公演予定が。
お腹が空いたので、目の前にあるベーカリー・カフェでランチ。
ランチセットのパスタを選ぶ。連れが麺入りスープを選ぶと、刻み海苔を散らした温かい麺が丼で出てきて、味噌味がした。あらためてメニューをよく見るとちゃんと「ウマミ ミソ スープ」メニューの一つだった。
このあと北上してトヴェルスカヤ通りに移動して、チョコレート工場アリョンカの店でチョコレート菓子など土産物を大量に仕入れていったんホテルに戻った。
少し休んで夕方、プーシキン美術館本館にアタックする。
]]>もうけっこう疲れている。じつはこの日までに連日3万歩近く歩いていたことや、あまりよく眠れなかったこともあってか、行きの電車のなかで口唇ヘルペスを発症したことに気づいていたのに、旅先のことで対処が遅れた。なので、唇がけっこう痛くなっていた。発症した時点ですでにかなり疲れているんだよね。
バスターミナルそばの食堂に入って、アイスクリームとコーヒーで休憩。どちらも美味しくて生き返る。
モスクワと比べるとコーヒーはかなり安かったけど、アイスクリームはここのほうが高かった。
気合を入れ直して帰りの電車に乗るまで散策を再開。
鉄道駅前の坂を上り、ドミトリエフスキー聖堂を横目に見ながら市街に出る。見える範囲すべてが街で、人通りもけっこうある。教会がある!と思ったらプラネタリウムだった!なんて場所があって、なかなかいい町じゃないですか。
遠くにも尖塔があるけど、この左手にあるウスペンスキー大聖堂に向かう。
大聖堂は高台にあり、その先には森が遠くまで広がっていて、息を呑んだ。広い。
大聖堂の周囲は公園みたいになっていて、市民が思い思いに夏の夕暮れを楽しんでいる。芝生で寝そべっている人もたくさんいて、短い夏を満喫しているようだ。
もう少しゆっくりしたかったけど、電車の時間が迫ってきた。
ウラジーミル駅。
同じようにパスポートを提示して乗り込むと、2人席で、連れとは席が前後になってしまっていた。ロシア鉄道のWEBサイトでチケットを取ったときの表示では席が向かい合わせの4人掛けなのか2人席なのかよくわからなかったから仕方ない(選択肢もなかったけど)。
ようやくモスクワに戻って夕食。昼食みたいにボルシチ、ピロシキ、シベリア風ペリメニを腹に収めました。奥にあるのはスメタナ(サワークリーム)で、ボルシチに入れるものだけど、なんでこんなに大量なの!
あとでレシートを確認すると、スメタナが単品で2人分取られていた!(そんな注文してないし、説明もなかったはず。だいたいほぼ入れないんだから。そういえば、途中で担当のお姉さんが通りがかりにわざわざ、スメタナ入れろと言ってた)。
ホテルに戻る途中、薬局に飛び込んで、口唇ヘルペスの薬を買った。ロシアで初めて買った薬がこれかよ。
長い一日でした。
]]>列車とバスで無事目的地にうまくたどり着けるのか、ちょっと心配。
ニージニ・ノヴゴロド行きの急行列車が出るクールスク駅に地下鉄で向かう。朝早いけど少し余裕をもってでたのに地下鉄駅が修理で入れなくて、別の駅まで歩くはめに。駅からは出られるのに入れてくれないってどういうことよ。
予定通りなら乗り換えなしのはずが乗り換えが発生して間に合うかひやひやした。
しかもモスクワでは地下鉄に乗るにもセキュリティゲートをくぐらなくちゃならないし、この急行に乗るにはプラス手荷物検査も待っていて、手間が増える。とにかくいろんなところで荷物の検査があるので、面倒なことこの上ない。
どうにか間に合ってホームに上がると、今度は列車に乗る表示がまた曖昧で駅乗務員に教えてもらうはめに。スマホの購入画面を見せたら隣の車両だと言われ、そこでもまた向こうだと言われ、やっと車内に表示があることに気づいた。
乗客の動きを見ていると、スマホの画面を見せるよりパスポートを見せたほうがスムースそうだと判断して係員に見せたら、番号を入力して予約が確認され、ようやく乗れた。行きの運賃は特急料金含めて1,200RUB弱だった(だけど帰りは、より最新型っぽかったけど、2,000RUB弱とかなり高い)。
車内はきれいで快適(隣の男女が大きくて圧迫されたけど)。車内販売あるし、御用聞きまで回って来るしでおもしろい。ガイドブックをチェックしたりしていると、2時間弱であっという間にウラジーミルに到着。駅でトイレに行ったら25ルーブルだった。
駅前のバスターミナルで次のスーズダリ行き切符(1人102.5ルーブル)を買うと、なんと指定席だった。そのへんの路線バスより小さくてボロいのに。
最後部5人掛けの真ん中に座ると、ロシア人女性が暑いから天窓開けてと周囲の人に言いながら斜め前に座り(天窓は固いからか開かない)、買ってきたコーヒーの蓋を開けた途端にバスが発車、揺れる車内、いつコーヒーを浴びせかけられるか気が気でないオレ。しばらくヒヤヒヤだった(ちなみにこの女性、面倒な人だなと思っていたけど、じつは親切な人なのでした)。
バスはすぐに田園風景のなかに入り、のんびりしたちょいボロバスの旅となった。
そのバスはスーズダリのバスターミナルから市内までは路線バスに切り替わるので、新たに19ルーブルを支払ってそのまま乗り続ける。自分は知っていたので問題なかったけど、例のロシア人女性が地元のロシア人に聞いてたまたま後方に固まっていた外国人たちにわざわざ英語で説明してくれたのだった。ね、親切でしょ。そして彼女は運転士に頼んで天窓を開けてもらっていた(コツがあったみたい)。
さてスーズダリに到着。下調べが足りなかったけど、見当をつけてとりあえず歩く。これ有名な修道院だと立ち寄ると、たいていの外国人観光客はバスでどっと乗り付けてくる。バスでつまみ食いみたいに観光スポットを回るのはちょっともったいない。
スパソ・エフフィミエフ修道院。
修道院脇からの景色がのどか。こちら方面だけでなく、この右手にも同じような風景が広がっている。
さて、この場所から川の先あたりにある橋を渡って右手の修道院へと歩いた。けっこうな距離がある(そこから先も歩いて、最終的には左手奥の尖塔のあたりまで歩くことに)。
この日は今回の旅でいちばん日差しがあって暑かった。なのにめちゃめちゃ歩いたので、不覚にも日焼けしてしまった。足も痛くなった。日頃の運動不足がたたったのか。
さっき川向うから見た聖ポクロフスキー女子修道院に向かっている。右手が川。
その手前にあった教会(?)
すでに歩き疲れているけど、歩くしかないので、日陰を選んで進む。
修道院のあたりは住宅地。町の中心部に向かっていたところ、猫に遭遇。慌てて木に登る猫。
さらに歩き、川に向かって下る。
暑いのと歩いたのとで疲れているけど、心穏やかになる景色を見るとほんの一瞬、疲れを忘れる。
町の中心部まではここからまた上り坂。なんとか力を振り絞って町の中心部まで戻り、レストランになだれ込む。
水、水をくれー状態。ガス入りとガスなしを頼んだ。そしてありついた昼食。
いくつかのカフェやレストランでボルシチを食べたが、ここのは本格的で美味かった。
ちょっと寛いでから重い腰を上げ、比較的近いこの町のクレムリンだけ眺めたら、ウラジーミルに戻ることにした。
スーズダリのクレムリン。これはロジェストヴェンスキー聖堂(のはず)。
そろそろウラジーミルに戻ろう。
バスターミナルがどこにあるのかわからなくて、バス停で待つ人に訊いてみると、ちょっと遠いよと。
やはり来るときに停まったあのバスターミナルに戻らないといけないらしい。もしかすると路線バスで戻れるかもしれないけどここで冒険はできないので、町外れまで歩くことに。絵に描いたような田園風景。犬、牛、鶏に遭遇。馬で走り回っている人がいた。
そしてバスステーションに無事辿り着けたので、切符を買って乗り込む。
今度のバスはバスらしさがある。でも冷房なしで暑い。
行きとはルートが違うみたいで、途中からウラジーミルの町中に入り、バス停にどんどん停まって、乗客が降りて行く。思っていたよりずっとずっと大きな町で、この辺の中心都市なんだと気づく。終点のウラジーミル駅に着いたときには乗客はまばらだった。
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新館は本館からは少し離れている。
広い文化公園のなかにある大きな建物。曇って風があって肌寒い。人もまばら。
早めに来たので近くのどこかでコーヒーを飲んで待つつもりだったが、公園内にあるどのカフェもまだ営業前。
仕方なくもしかしたら館内には入れるかもとダメもとで行ってみたら入れた。
チケットありなしで入口は分かれていて、係の恰幅のいい男性は優しかったが、荷物検査のお姉さんがこわかった。
チケット持ってない人が窓口で買っていて、なんだ買えるじゃないかと思った次第。
予約の時間まで館内のカフェでコーヒーを飲みながら待つ。
予約の時間がきた。ロッカーに荷物を預けていざ入場。
写真撮影禁止と説明板にあったけど、ちらほら撮ってる人が。
ロシアでもこれほど大規模なイリヤ・レーピンの展覧会は初めてらしい。トレチヤコフ美術館やロシア美術館から集められているほか、個人蔵も。
日本で観た作品もいくつかあったが、それ以外にも有名な作品が並んでいる。
《ヴォルガの舟曳き》をはじめ《クルスク県の十字架大祭》《サトコ》《何という広がりだ!》、それに多くの肖像画、次から次へと現れる作品の質と量に圧倒される。こんなに緻密に、それもかなり大きな作品も多くて、どれくらい時間がかかるのか想像もつかない。
《ヴォルガの舟曳き》のホンモノは初見。画像では何度も見てきたが、初めて観たそれは、青木繁《海の幸》を思い起こさせた。思っていたより力強さがあって迫力がある。
日本なら混んでるとはいわないくらいの人出だから、どれもこれもゆっくり鑑賞できる。こんな展覧会があったのはラッキーだった。大満足。
]]>ここで、日本でいういわゆるホットコーヒー(ブレンド)にあたるのがアメリカーノと呼ばれていることが判明。ここで、コーヒーを頼むときはアメリカーノ、サイズは大か小と学んだ(たいていのカフェでコーヒーの選択肢はアメリカーノ、エスプレッソ、ラテの3種類。ミルクを入れるか訊かれることもある。ちなみにスタバには寄らなかったのでメニューがどうなっているのかはわからない)。
朝食をすませたら、メトロで2駅くらいだから歩けそうだったので赤の広場まで歩く。天気もよく、内外の観光客でごった返していた。いちばん目立ったのは中国人の団体。次から次と現れて勢いがすごい。
残念ながら赤の広場はイベントの準備で封鎖されていて眺めるしかなかった。
赤の広場で有名なワシリー寺院を見て、周辺散歩に繰り出す。少し歩いただけで、教会や修道院の特徴的なネギ坊主が見つかるので、発見競争したりして楽しい。
そろそろお腹も空いてきたので、グム百貨店にあるスタローヴァヤ(食堂)で腹ごしらえ。いわゆるビュッフェスタイルで、列に並んで、トレイをもって自分で皿を取ったり、お姉さんに言って注いでもらったりして、最後に精算。空いている席を確保して食事を楽しんだ。
店を出てみると、日本だけでなく世界中のガイドブックに載ってるのだろう、長い行列ができていた。もう少し遅かったらあぶないところだった。
午後も引き続きあたりを散策。モスクワ川を渡ってうろうろする。最近の建物も多いんだろうけど、統一感のある建築物を眺めているのは心地いい。
またクレムリン方面に戻り、赤の広場を通り過ぎてトヴェルスカヤ通りを北上する。
ガイドブックに載っていたスーパーに入ってしばらくすると、以前にモスクワで今はなきインツーリストホテルに泊まっていたときにお世話になったスーパーだと気づいた。当時と違って広くてきれいになっていた。
すぐそばのカメルゲルスキー横丁も馴染みの場所だけど、いまやカフェ密集地として有名らしい。以前あったソ連という感じの食堂ももうなくて、おしゃれっぽいカフェになっていた。
横丁の1軒(やたらとそこら中にあるカフェ「ショコラドニッツァ」)に入って、コーヒーとケーキで休憩した後、さらに北上してモスクワ書店を覗く。ストルガツキイ兄弟のほぼ全集みたいに作品がいっぱい入った分厚い一冊本があったのでほしかったんだけど、帰りの荷物を考えて断念。いつか手に入れてやろうと思っている次第。
たくさん歩いた。まったく交通機関を利用せず、いくら元気だからって調子に乗ってひたすら歩いたのが、後々たたることになるのだが。
]]>シェレメチエヴォ国際空港のターミナルもきれいだし、以前とは比較にならないほどスムースに入国が完了。
予定通り市内直結急行アエロエクスプレス乗り場に向かうと、自動券売機があってクレジットカードで購入。2人分で割引(850RUB)になり、3人以上でさらに割引になる。
列車到着まで閉じられたゲートの外に並ばされ、プラットフォームに入る際には自動改札機にQRコードをかざして通る。自由席なので適当に席を確保。
ロシアに来たんだなーと実感しながら30分強でモスクワのベロルースキー駅に着いた。
そこから地下鉄でホテルに向かう。モスクワのメトロの改札は以前はプラスチックのコイン(ジェトン)を入れる方式だったが、紙製のカード型チケットでタッチする方式に変わっている。自動券売機もあったがまだ不安があったので(故障が多いなどマシンへの信頼性という意味で)、対面窓口で1回分を購入した。
ホテルに最寄りの駅まで移動し、チェックインしてから周辺を散歩。旅行に来て気分が高揚しているのであまり疲れは感じない。
そろそろ眠くなってきたので、ホテルの近くにあるスーパーに寄る。広くてきれいで品揃えも豊富。見物したついでにつまめるものを買ってホテルに戻り、簡単に食事を済ませた。このスーパーには旅行中なんどもお世話になった。
部屋のシャワーのお湯は湯量も温度も問題なくてうれしかったけど、シャワー室の構造がすこし変でちょっと使いにくかった。なんだかおしゃれにデザインしているせいなんだろう。
]]>最後にモスクワに行ったのがもうかれこれ20年ほども前になるので、どう変わったのかとても楽しみだった。
半年前から往復航空券と宿を確保、パスポートの取得、ビザ取得といろいろやることがあった。とくにビザは、6月からロシア大使館でのビザ申請が予約制になったりで、日程のやり繰りなんかもあって、そこそこ面倒だった。苦しみのあとに歓喜がやってくるのだ。
渡航のための準備を終えたらいよいよ旅の具体的な計画。といっても、これはしたいというのをいくつか決めた以外は、街をぶらぶらするのが今回の目的なので、タイトな予定にはしない。
ちょうどトレチヤコフ美術館新館のレーピン展の会期末にぎりぎり間に合うので、美術館のウェブサイトでチケットを確保したり、一度だけ日帰りで郊外に行くことにしたので、急行列車の往復チケットもロシア鉄道ウェブサイトで取ったり。
いままでといちばん違うのは世界がネットで繋がったことだろう。現地の情報が簡単に手に入るし、予約したものとかがみんなスマホに入っているので便利。一方で、スマホにトラブルがあったらどうしようという不安も残る。
実のところ現地でのネット環境は現地SIMを入れたかったが、ちょっと事情があってレンタルWi-Fiにした(これが予想よりも使いづらくて、あまり活用できなかった。次回は現地SIMも含めてもっとよく検討しないと)。
その他もろもろ用意して(いろいろとリサーチ不足は否めないものの)あとは出発を待つだけ。
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国立新美術館で開かれている「ピエール・ボナール展」最終日に滑り込んできた。予想よりは少し多い程度の混み具合いだったので、快適にみることができた。
個人的なハイライトは最初の展示。「日本かぶれのナビ」と言われた頃の作品がずっと好きだ。日本美術の影響を受けているからというわけではないわけではないが、それが理由ではない。
全体を観終えた後で再確認したのは、色使いが好きだということ。
色面で構成されるのが好みで、後年になると色が混ざり合ったりしているのが、返って美しくみえなくて苦手になる。点描っぽさでさらに苦手感が増す。
色そのものも鮮やかならきれいに感じるかというとそうでもないし、地味な色合いでもきれいに感じたりする。なんだろうね、こういうのは。
そんなわけで、好きな作品を挙げると、『庭の女性たち』(4点組装飾パネル)、『白い猫』、『アンドレ・ボナール嬢の肖像、画家の妹』。ほんとに最初の部屋で終わってしまう。
画家の作品の肖像は初見。掛け軸型だけども立体感のある画で、色と構図、表情と、とても魅力的な作品。
白猫はオルセーで観ている。いつ観てもおもしろい。
ボナールとマルトが互いに撮りあったいくつかの写真は鮮明で、写真を楽しんで撮っている雰囲気が伝わってきた。
最近は好きなタイプの絵が固まってしまっていて、行きたくなるのもそういう作家のものばかり。それに主題や意図について考えるより、観て気持ちいいか、よくないかばかりを追ってしまう。観るタイプも観方ももうすこし冒険したほうがいいと思いつつも、なかなか……。
来年の課題にしようかな。
]]>JUGEMテーマ:アート・デザイン
学生時代に先輩・同級生と美術館に出かけた。たぶん東欧のどこかの国の美術館の展覧会だった。うろ覚えなのは、あまり興味を惹かれなかったからだと思う。当時、美術にそれほど興味がなかった。
その後、短い期間だったけど、米国に住んだことがある。ワシントンD.C.のスミソニアン博物館には何度も足を運んだ。お目当ては航空宇宙博物館。宇宙大好きだから。なのに美術館は一度も訪問しなかった。ニューヨークにも何度か遊びに行ったのに、やっぱり美術館には行ってない。
今から思えば本当にもったいないことをした。
十数年前から、とくに絵画に興味をもつようになって美術館に出かけ始めた。プーシキン美術館展やプラド美術館展をみて、このブログを始めた。その後、若冲の展覧会があって、はじめて日本画に目覚めるということになるわけだけど、それはまた別の話。
ブログなので誰かに見てもらいたいという気持ちもあったとは思うけど、基本的にはただ記録するだけで満足していた。それだけ自己完結していたのだろう。
そんなとき、遊行七恵さんやTakさんからコメントをいただいた。そこから美術の世界が広がった。ずっと前から美術を観続けてきた方々とのWebでのやり取りで、美術の見方や楽しみ方を自分なりに学んでいった。とくにお二人には感謝している。
そう言いつつ、いろんな事情があって、美術を観に行く機会を減らしてしまったのは、自分の不徳の致すところ。もちろん興味を失ったわけではないけど。
美術の見方を広げてくれたTakさんが本をお書きになった。Takさんにしか書けないようなすばらしい美術入門書。先日、有志の方々が出版をお祝いする会を開いて大盛況だったという。迷ったのものの、たくさんの人が集まる場所は苦手なので参加しなかったが、お祝いの気持ちはこの拙い感想文を書くことに込めたつもり。おめでとうございます。本も早々に増刷が決まったそうで、何よりです。
前置きが長くなった。ここからが本題。
この本の魅力はイコールTakさんの魅力である。それが人を引き入れる力と言い切ってしまおう(上ですこし触れたように)。
まず美術を観に行ってみようと思わせる、そのために美術の魅力を発信する。まだ二の足を踏んでいるの、それなら、こんなつもりで出かけてみてはどうですか、というふうに次から次へと新たな抽斗から別の衣装を出して、連れて行ってくれようとする。
美術を観慣れない人だけにとどまらず、美術館に行き慣れている人にも、別の観方や新たな何かを見せてくれようとする。
苦手だったり嫌いだったりする作家や作品も、観ておけば好きな作品の参考になるし、その作品に影響を与えているかもしれない、もしかしたら将来好きになるかもしれない。好き嫌いでみる態度を変えるのはもったいない。観るチャンスがそうそうあるわけではない作品も多いのに、観ないのはもったいない。そうTakさんは力説する。
そんなTakさんはどんなものでも必ずいいところを見つける才能をお持ちである。美術作品として残ってきたものばかりなのに、好きじゃないから観るのはやめようとバッサリ切ってしまうのはあまりに短絡的ですよ、と。
このあたりは自分の胸にグサリと突き刺さる。
ようやく前置きとどうにかつながったでしょう。
美術に大して興味がなかったのに、あるときから突然好きになって、熱心に通うようになったりする。将来好きになるかどうかは誰にもわからない、でも自分の興味を広げることは絶対にあなたの何かになるから、どうせなら今出かけてみませんか。
この本では、日本で観られる美術作品が紹介されている。
そんなに面白いっていうのなら騙されたと思ってちょっと行ってみようかな、本で紹介されていたやつが近くで観られるんだ、で、こうやって観てみればいいのか、そんな見方はまだ難しいけどこんな見方ならできるかな。そういうなら下調べしてから行ってみようか、あのキャプションが気になったので、あとでもう一度ググってみよう。こうなったらもうTakさんの目論見どおり。
とにかく一度美術館に足を運んでみては、と。
映画館に行くように美術館に出かけることがもっとたくさんの人の日常になればいい、こんなに楽しいことをもっともっと多くの人に知ってもらいたい。
美術作品を楽しむコツが豊富に盛り込まれた、Takさんならではの美術鑑賞入門書。美術館にお出かけの際にもポケットに入るサイズの絶好のガイドブック。
絶賛応援します。
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「質量ともに史上最大級」をうたうだけあって、観終わったときにはもうお腹いっぱい。もちろん心地よいやつ。
画業の最初期から最晩年まで、画風や画題がそのときどきの関心や社会情勢に応じて変わっていく様が、はっきりと見えるようで、まったく飽きることがない。
外光派風の洋画、アメリカ縦断の旅で描いた地元で人気そうなカラフルな水彩画、熱に浮かされたかのような気配が漂うくすんだ色の戦争画、透明感が美しい乳白色の裸婦、佇まいに風情がある街並、存在感がやわらかな静物、愛情をもって見つめる猫や犬、そして晩年の独特の宗教画、フレスコ画と、さまざまなスタイルの画に挑戦しているのに驚く。画だけでなくミニチュア模型や額縁を製作したり、ものを作るのが好きだったのだろう。
自画像を好んで描く理由は知らないが、描くものが変わっていくときや、気持ちを切り換えたりするときに、何かをリセットするような役割もあったのかもしれない、なんてことも思う。
今回の展示でいちばん気に入ったのは《エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像》(1922年、シカゴ美術館)。
人物に存在感を与える装飾物、猫、そして銀箔も好きだ。フジタの描く衣装や家具に、目で見てこんなにも緻密で繊細な手触りがあったのかと、今回とくに感嘆させられた。他の作品でも感じたが、勝手なイメージ以上に色彩豊かだ。
同じ作品をなんど観ても発見があるから、もう観たことあるからいいや、なんてことは絶対にないのだと気持ちを新たにする。
日本とフランスで半分ずつ(くらいかな)暮らしたような作家だけあって、ヨーロッパからも日本からもたくさん集められていて、壮観というしかない。
ちなみにユニマットグループからも2点出品されていた(まだ持っていたのかユニマット。美術館を閉めてから作品たちがどうしているのか気になっていたので、なんだか少しだけホッとした)。
たしかに 質量ともに最大級の大回顧展。看板に偽りなしだと思う。久しぶりにいいものをみて、やはりもっとちょくちょくと美術館に足を運びたい気分になった。
ちなみにこれ、なんと1年2か月ぶりの記事でありました(オソマツ)。
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さまざまな草花をみていると、こういうのはやはり日本画に限るなあ、と思う。もちろん好みのことである。派手でなく、素朴でデザインに昇華したような作品、そんなのが好きだ。
奥村土牛《木蓮》の深みのある美しい赤、小林古径《白華小禽》の淡くて、雑味を省いた構成。
酒井抱一や速水御舟はもちろんすばらしいし、杉山寧もとてもいい。みているうちに、ああ日本画ってすばらしいな、とじわじわと沁みてきて、とても豊かな気持ちになった。
今回、酒井鶯蒲という江戸期の絵師の《紅白蓮・白藤・夕もみぢ図》があったので、これはメモとして残しておこうと思った。
この名前を聞いたことはなかった(か、あるいは気に留めたことがなかったか)。琳派と現代をつなぐような、シンプルで端正な構成が魅力的だった。
いいものをみて、心に栄養をもらうと、生きる活力が湧いてくる。
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