2010.09.19 Sunday

シャガール展@東京藝大大学美術館

東京藝術大学大学美術館「ポンピドーセンター所蔵作品展 シャガール―ロシア・アヴァンギャルドとの出会い〜交錯する夢と前衛〜」 2010.7.3-10.11
シャガール展01シャガール展02
どこか幻想的なイメージがまとわりつくシャガールの絵画。故郷ヴィテプスクのユダヤ人居住区やパリの街、牡牛、鶏や鳩、ヴァイオリン、月や太陽などのモチーフがそうしたイメージを彩っているのだろう。

同時代のロシアの画家たちの絵とともに展示することで、シャガールとはどういう画家だったのかを探る企画。自分の世界だけに浸って活動していたかのような印象すら持たれているシャガールが、決して同時代の美術や社会と無縁ではなかったことを示す試みでもある。
ナターリヤ・ゴンチャローワ、ミハイル・ラリオーノフ、ワシリー・カンディンスキー、ジャン・プーニーらの作品が申し訳程度ではなく、あきらかにこの企画展の重要な作品群として出品されていることに驚く。なかでもゴンチャローワの作品は、《収穫物を運ぶ女たち》をはじめ、圧倒的な生命力に満ちている。

マルク・シャガールは、2つの大戦、ロシア革命などが続いた激動の時代に生きた。自らが招いたマレーヴィチによってヴィテプスクの美術学校を追われることにもなった。歴史の荒波と関わり合いとともに、故郷や妻ベラへの想いを絵画に表現するために、さまざまなモチーフは内面を投影する重要な要素だった。そう考えると、彼の作風は決してファンタステックなものではなくて、むしろリアリスティックなものに感じられる。
シャガール_空飛ぶアトラージュ
マルク・シャガール《空飛ぶアトラージュ》
暗く寒く美しい画面から、深い悲しみと明日への希望が濃密に伝わってくる気がする。

メトロポリタン歌劇場「魔笛」のために依頼された舞台美術の数々は、シャガールが「魔笛」の世界を深く読み込んだこと、また熱心に取り組んだことがわかる貴重な展示だ。《夜の女王》の衣装は、シャガール的でありながらも、師レオン・バクストを彷彿させる。

この展覧会は、ひとつの美術館から持ってきた作品を展示したものではあるが、そのなかみは綿密な企画に基づいたであろう魅力にあふれたもので、まさに意欲的な試みだと思う。

余談だけど、シャガールの絵を眺めながら、そういえば青山ユニマット美術館にあったシャガールの作品たちは今どうしているのだろうと気になった。


2017.06.11 Sunday

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