2010.05.10 Monday

細川家の至宝展(東博)

 東京国立博物館で開かれている特別展「細川家の至宝―珠玉の永青文庫コレクション―」をみてきた。

細川家の至宝展01 細川家の至宝展02
2010年4月20日―6月6日

文武両道に優れた細川家に伝わる武具から美術品まで、さらに細川護立が収集した近代絵画その他の工芸品、美術品が盛大に披露されている。何よりも素晴らしいのは、これらの美術品を散逸させずに、誰もが接することができるようにしたことだろう。歴史に名を残す家系はたくさんあるけれども、これだけのコレクションを保っているというのは稀有なことではなかろうか。
文武両道の細川家に相応しい作品といえばこれかな。
宮本武蔵_鵜図
宮本武蔵《鵜図》
招かれた細川家で過ごした晩年に描いたとか。

もともと目当てはこのあとに触れる絵画2点だったので、気楽な気分でみはじめたところ、武具からすでに素晴らしいものが並んでいて、すっかり魅了されてしまった。茶、能、和歌にまつわる名品、書状など、圧倒された。焼き物好き、刀好きな感じの人たちが群がっていたりするのもおもしろかった。

菱田春草_黒き猫
菱田春草《黒き猫》(1910)
春草が朦朧体を経て晩年に辿り着いた、永青文庫を代表する近代絵画。緻密に描かれた毛並みの黒猫の存在感を、装飾的な柏の葉と幹が際立たせている。とくに、裏彩色が施された葉には雰囲気があるし、金泥がそこここに効果的に入れられている。
遠く離れてみると、装飾と写実が融合して抜群の構図、構成になっていることが感じられた。
展示期間は5月16日まで。入れ替わりに《落葉》が登場する。

小林古径_髪
小林古径《髪》(1931)
本展には大まかに分けて5月9日まで展示のものがいくつかあって、これはそのなかのひとつ。ずっとみたいと思っていた作品が出ていると知ったからには、見逃すわけにはいかない。
半裸の女性の黒髪を梳く着物姿の女性。それ以外には何も描かれず、空気と空間があるだけの絵だ。
髪を梳かれる女性の姿は線と淡い色だけで描かれている。線描による写実を追求したとされる古径だけに、最小限にすっとひかれただけにみえる線なのに、ふくよかさなど女性のからだが的確に表現されていて、ただうなるしかない。一方で髪の毛は密に線を重ねて量感の豊かさを写実的に描き出している。線をみているだけでまったく飽きない、ほんとうに素晴らしい絵だ。
手を交差したポーズや目には古代エジプト彫刻のスタイルが取り入れられている。

横山大観《山窓無月》川合玉堂《彩雨》には情緒的な味わいがあったし、平福百穂《豫譲》久米民十郎《支那の踊り》はなかなかおもしろみのある絵だった。

お目当ての絵がみられれば後はさらっと見ればいいやと思っていたのに、わりと空いていたこともあって、すっかり夢中になっていろいろゆっくりと見てしまったので、時間がかかってしまった。恐るべし、永青文庫。
来週16日にはNHK「日曜美術館」でこの展覧会が特集されるようなので、その後は混雑するのだろうか。


2017.06.11 Sunday

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コメント
古径の『髪』の女性の手は、古代エジプト彫刻を取り入れているのですか!
言われてみても、よく分からないですが、
通常は見かけない、取らないポーズですね。
そう考えると面白いです。
  • meme
  • 2010/05/17 7:57 PM
★memeさん、こんばんは。
『画家別 近代日本絵画の見かた』に「両腕を交差したポーズや目の表情は、古代エジプト彫刻をヒントにした」とあります。交差しているところがポイントですね。
ところで、《支那の踊り》がtwitterで話題になっていましたね。
  • キリル
  • 2010/05/19 12:37 AM
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