2017.06.11 Sunday

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

  • posted by スポンサードリンク|
  • -|
  • -|
  • -

2010.03.06 Saturday

フランク・ブラングィン展(西美)

国立西洋美術館で開かれている開館50周年記念事業「フランク・ブラングィン ―伝説の英国人画家 松方コレクション誕生の物語―をみてきた。

ブラングィンの名前は松方コレクションの形成に深く関わった人物として知っている人もいるだろう。僕の場合は3年半ほど前に西美の版画素描展示室での「フランク・ブラングィン版画展」で強く刻み込まれた名前だ。本展に出品されている《しけの日》(1889)にも常設展でときどき出会っている。

フランク・ブラングィン展

画家、壁面装飾家、工芸デザイナー、建築・空間デザイナー、版画家、コレクター。
多彩な顔持つ、ベルギー生まれ・英国を代表する作家フランク・ブラングィン。
国立西洋美術館の礎となった松方コレクションは、この男の存在なくして語れない。
2010年2月、国立西洋美術館にて展覧会開催。

ウィリアム・モリス工房でデザインを学んだことによる装飾的、デザイン的な傾向が、その後の画業に強くにじみ出ている。

ブラングィン_海の葬送
《海の葬送》(1890)
船の上で亡くなった仲間を送る様子が抑えた色調で描かれ、海を照らし甲板に落ちる日中の光に、深い悲しみがこもっている。

その後、地中海周辺への旅を経験することで、鮮やかな色を使った画風へと変わっていく。ウジェーヌ・ドラクロワやパウル・クレーをはじめ、地中海への旅で色彩が鮮やかになるという例は多い。

プラングィン_慈愛
《慈愛》(1900)
聖母マリアが貧しい人たちに施しをする様をイメージした様子が、青っぽい色調を主体に描かれている。こういう絵は好きだけど、色が濁りっぽくなければもっとよかった。

ブラングィン_りんご搾り
《りんご搾り》(1902)
古典キリスト教絵画のような趣の絵で、牧歌的でなんかロマンチックな作風。画面が艶やかで目に優しく、ほのぼのとした気持ちにさせられる。

《造船》(1910-15)
巨大な雲がむくむくとした雄大な自然を背景に、大きな船の周りで人々が働く様子は、自然と人工物と人間の対比と共存というものを考えずにはいられない。ウィリアム・モリス工房での経験とともに、船乗りの経験が、海や船を題材にした作品における、人々の営みや自然の景色に大きく反映されているのだろう。

《花と子どもたち》(1899頃)
三連祭壇画のような3枚パネルに描かれているが、縦長なところが屏風を思わせ、日本趣味がみられるという。神話的モチーフだというが、花に囲まれた子どもたちのうち、右端の子どもが着ているのはキモノのようもみえる。深く落ち着いた濃紺が花と衣装の白さを引き立て、画面を魅力的に整えている。とてもすばらしくて、郡山市立美術館の所蔵ということだから、これからもみるチャンスがあると思うとうれしい。

ブラングィン_白鳥
《白鳥》(1920-21頃)
白鳥をモチーフにしたとは思えないような作品だが、やはり根っこに装飾画やデザイン画の精神が流れているからだと考えると納得できる。白鳥に強い木漏れ日が落ち、オレンジと黄色の鮮やかな花が目を引く。

版画にもすばらしく印象的な作品がたくさん。版画の場合、油彩画とは違って光と影の表現やタッチが劇的なんだけど、構図を含めてとてもかっこいい。《ハンニバル号の解体》(1904)なんて、現代のイラストレーションみたいだ。

ブラングィン_アルビの古い橋
《アルビの古い橋》(1916) エッチング

ブラングィン_若者の功名心
《若者の功名心》(1917) リトグラフ

漆原由次郎の彫り・摺りで制作された木版画になると、一転、浮世絵の趣で、詩情あふれる景色が現れる。

ブラングィン_詩画集より
ローレンス・ビニョンによる詩 詩画集『ブリュージュ』(1919出版)《ブリュージュのヤン・ファン・エイク広場の恋人たち》

このほかにも壁面装飾画の映像や、幻に終わった共楽美術館のCG映像が上映されているし、家具やカーペットなども展示され、その多彩ぶりを幅広くみせてくれる盛りだくさんの内容だ。

ところで、松方幸次郎とブラングィンが夢見た共楽美術館だが、実現していたらすばらしいものになっただろうと残念に思う反面、その後の戦争なんかのことを考えると、美術館とコレクションがさらに悲劇的な運命をたどることになったのではないかと、別の意味で心配になった。



日本ではそれほど知られていないブラングィンなので、今のところそれほど混雑していないようだが、多彩ですばらしい作品を目の当たりにすると、これから評判を呼んでいくのは間違いないように思う。
僕のなかでは、今年の美術展ベストテン入り確定。迷っている方にはぜひ早めにご覧になるようお薦めしますよ。
といいつつ、しつこく迷ったけど図録は買わなかった。分厚い図録はもういらない(という気分に最近はなっているから)。


2017.06.11 Sunday

スポンサーサイト

  • posted by スポンサードリンク|
  • -|
  • 23:06
  • -|
  • -

関連する記事
コメント
ブラングィン展は大当たりでしたね。
日曜美術館では松方コレクションに重きを置いて紹介していましたが、
ブラングィン自身の作品をもっと紹介して欲しかったと残念でした。
  • meme
  • 2010/03/07 9:18 PM
★memeさん、こんばんは。
日曜美術館はちょっと中途半端な感じでしたね。もっとブラングィンのことを紹介してほしいと、西美の方々も思ったのではないでしょうか。たくさんの人にみてほしい展覧会ですね。
  • キリル
  • 2010/03/07 10:04 PM
油彩画に比べて、版画はとてもわかりやすかったです。
松方とこの画家のつながりがあって、今の西美のコレクションがあるという逸話を始めて知って、興味深かったです。
★一村雨さん、こんばんは。
油彩画と版画の魅力には違いがありましたね。
美術館の設計をして、アトリエまで予定していたなんて驚きでした。ブラングィンのことはこれから日本でももっと評価されるのではないかという気がしました。
  • キリル
  • 2010/03/09 11:37 PM
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック
国立西洋美術館で開催中の「フランク・ブラングィン」展に行って来ました。 フランク・ブラングィンの略歴・紹介は展覧会公式HPをご参照く...
  • あるYoginiの日常
  • 2010/03/07 9:16 PM
フランク・ブラングィンー伝説の英国人画家―松方コレクション誕生の物語  国立西洋美術館に行ってきました。(2/23)                       2010年2月23日〜5月30日 国立西洋美術館の設立の礎となった松方コレクションは、松方
  • すぴか逍遥
  • 2010/03/08 4:46 PM
最近、私事多忙ですっかり、美術館めぐりもご無沙汰。この展覧会も先週見たもの。記憶を頼りにメモする。だいたい、この画家自体、はじめて名前を聞く人。松方コレクションとの関連もはじめて知った次第。第一印象は、とっつきにくい油絵だなぁということ。どうも絵の構
  • つまずく石も縁の端くれ
  • 2010/03/09 5:21 AM
国立西洋美術館で開催中の「フランク・ブラングィン展」(伝説の英国人画家 松方コレクション誕生の物語)会場内に「もうひとつの美術館」が現出! その美術館の名前は「共楽美術館」 現在の西洋美術館の基礎となっている松方コレクション。1910年代後半から20年
  • 弐代目・青い日記帳 
  • 2010/03/13 9:31 PM
国立西洋美術館で「フランク・ブラングィン」展を観てきました。この展覧会は、「国立西洋美術館開館50周年記念事業」であり、「伝説の英国人画家―松方コレクション誕生の物語」とあります。安藤忠雄は、「フランク・ブラングイン展開催によせて」として、「20世紀
  • とんとん・にっき
  • 2010/03/22 12:34 AM

CALENDAR

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< November 2017 >>

ENTRIES

CATEGORIES

SEARCH THIS SITE

ARCHIVES

RECENT COMMENT

  • 栄西と建仁寺@トーハク
    キリ
  • 栄西と建仁寺@トーハク
    奈良県PR担当の油井と申します
  • タルコフスキー『ストーカー』をめぐるいくつかのこと
    キリ
  • タルコフスキー『ストーカー』をめぐるいくつかのこと
    あべ
  • 2011年の美術展ベスト5
    AR
  • 2011年の美術展ベスト5
    はろるど
  • 歴史を描く@山種美術館
    AR
  • 歴史を描く@山種美術館
    遊行七恵
  • 2010年の美術展ベスト10
    AR
  • 2010年の美術展ベスト10
    すぴか

RECENT TRACKBACK

RECOMMEND

LINKS

PROFILE

twitter

スマートフォン

OTHERS

MOBILE

qrcode

POWERED

無料ブログ作成サービス JUGEM

SPONSORED LINK