2019.09.17 Tuesday

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

  • posted by スポンサードリンク|
  • -|
  • -|
  • -

2009.10.04 Sunday

新山種開館記念「速水御舟ー日本画への挑戦ー」

九段から広尾に移転した山種美術館で「新美術館開館記念特別展 速水御舟ー日本画への挑戦ー」(前期)をみた。

 速水御舟ー日本画への挑戦ー

JR山手線恵比寿駅西口から、どんな美術館なのかわくわくしながら徒歩で。途中、歩道橋ってなんてひどい構造物なんだろうと思ったり。近くまで行くと、ちょうど広尾高校の学校説明会が終わったところのようだった。

いよいよ自動扉を入る。と、さっそく楽しい気分に水を差された。
チケットを無言で受け取ったスタッフの女性、「ごゆっくりご覧ください」(棒読み)。うそー、それだけ?。前にも後ろにも誰もいなかったのに。下でほかにも愛想のないスタッフに出くわした。
多くの来場者をさばいて、きっとお疲れだったのだろうけど、来場者のほとんどは間違いなく初めてなのだから、いい印象をもってもらったほうがよいのでは。

気を取り直して。

第1章:画塾からの出発

若い頃からおそろしいほどの画力を示していた速水御舟。
《富士(小下図)》(1916)は富士の青と形がとても美しい。本画は制作されなかったとのこと。

第2章:古典への挑戦

速水御舟_炎舞
速水御舟《炎舞》(1925)
ありきたりだけどこの絵のすばらしさにしばし呆然とみいる。場所と照明の違いだろう、前回のやや画像処理が加わったような赤みの増したみえ方とは違って、より自然なみえ方だったように思う。炎の微妙な色合いやニュアンスがよくわかった。絵巻などにみられる古典の炎を吸収してさらに高みへと導く執念と技量が伝わってくる。日本画のひとつの到達点。

速水御舟_翠苔緑芝(左隻)速水御舟_翠苔緑芝(右隻)
速水御舟《翠苔緑芝》(1928)
琳派表現を取り入れた傑作。構成もさることながら、個々のモチーフの表現を変えながら全体を形成していく心憎さ。今回は紫陽花の花びらのひびとグラデーションが妙に気になって、まじまじとみつめた。枇杷も効いている。
ただ展示場所はどうなんだろう。少し下がって見てみたかったのだが、下がるとちょうど真ん中あたりに仕切り壁があって、微妙にみづらかった。

速水御舟_粧蛾舞戯速水御舟_葉陰魔手
速水御舟「昆虫二題」《粧蛾舞戯》《葉陰魔手》(1926)
こうまで繊細に表現できるのかとただ驚くばかり。蜘蛛の巣の微妙なきらきらなど、絹本を活かしきっているからこそできることなんだろう。蜘蛛の巣をめぐるように配置された枝葉、吸い込まれるように光に集まる蛾。宇宙を感じさせるような構成力がまたすばらしい。

速水御舟_柿
速水御舟《柿》(1923)
柿の実の量感がとても気に入っているので。

速水御舟_名樹散椿
速水御舟《名樹散椿》(1929)
抜群の存在感があって、孤高の美しさとでもいえるだろうか。
絵に対する執念を徹底的に感じさせる。「撒きつぶし」の技法でこれだけなめらなか金地を描き出すのは並大抵のことではないだろう。


第3章:渡欧から人物画へ

速水御舟_聖フランチェスコ寺のあるアッシジの村
速水御舟《聖フランチェスコ寺のあるアッシジの村(写生)》(1930)
渡欧時の写生画はいくつかあるが、とてもきれいなのでいつもこれに注目してしまう。建物の配置と存在感、通りがかる女性の美しい姿形、そして空気感。うまいなー。

速水御舟_埃及所見
速水御舟《埃及所見》(1931)
風景がないのに風景がみえてしまう。色の配置がすばらしい。ロバがかわいい。

速水御舟_婦女群像(大下図)表速水御舟_婦女群像(未完)

速水御舟:左《婦女群像(大下図)》表(1934) 右《婦女群像》(未完)(1934)
今回の目玉。ずっとみたかった一連の婦女群像もの。古本で手に入れた、同館での1993年の速水御舟生誕100年記念展年の図録で大下図を何度も見ていたのだが、まさかこんなに大きいとは思っていなかったので驚いた。これが完成していたら・・・本人も心残りだったろう。
ヨーロッパで購入した宗教画の写真などが展示されていたが、見比べてみると、そういった西洋絵画を参考にしたのは間違いなさそうだ。


第4章:挑戦者の葛藤

速水御舟_牡丹花(墨牡丹)
人物画に加えて、《牡丹花(墨牡丹)》(1934)のような新たな表現に挑戦しはじめていた矢先の1935年、40歳という若さで逝去。その先をもっとみてみたい作家だった。


どの絵にもまったく隙がなくて、恐ろしいくらいに完成度が高い。
昨秋の平塚美術館での「速水御舟ー新たなる魅力」展の記憶がまだ鮮明に残っているうちに、本展が開かれたのは幸運だった。本展の足りない部分をその記憶で補いながらみたので、頭のなかではかなり充実していた。

さて、新しい山種美術館。千鳥ヶ淵近くの場所が好きだったので、寂しい想いもある。地階というのも、気分的なものなんだろうけど、ちょっと閉塞感がある。でも、きれいだし、広くなった。ミュージアムショップも充実、翠苔緑芝の黒猫と白兔をモチーフにグッズを揃えたのはとてもいい。
これから、美術館を支えるみなさんと美術館を訪れるみなさんの気持ちがいっしょになって、さらにいい美術館になっていけばいいな。


2019.09.17 Tuesday

スポンサーサイト

  • posted by スポンサードリンク|
  • -|
  • 02:43
  • -|
  • -

関連する記事
コメント
こんばんは。初めて書き込みします。
blog、いつも興味深く読ませていただいております。

婦女群像と大下図、会場で最初に目に飛び込んできた時、息をのみました。
私も、こんなに大きなものだとは思っていませんでした。

下図の試行錯誤の様子や、本画のベースの仕事、
そして、このまま描き続けるのを一旦諦めたことなど、
生の御舟が見えたような気がしました。

閉館間際で、他にお客さんがいなかったので、
時間が来るまで、眺めていました。

また行きたいです。後期も楽しみです。

ちなみに、私もあの歩道橋で混乱しました…!
らせん階段をくるりと回って上がったら、
目的地がどっちの方向なのか、そしてどこから来たのか、
すっかりわからなくなってしまいました。(運良く着きましたけれど)
慣れるのに時間がかかりそうです。
  • 静子
  • 2009/10/04 11:33 PM
★静子さん、はじめまして。
閉館間際って貸し切りみたいになっていい気分ですね。
婦女群像はどれくらいを想像していましたか。僕の場合は二回りほど小さいものと勝手に思っていました。いつか再挑戦するためにきっと強い想いを秘めていたのでしょうね。
歩道橋を通るとき、たいてい狭い道路を渡るだけなのに、なんで上り下りさせられなきゃならないんだろう、っていつも思うんです。
  • キリル
  • 2009/10/05 12:03 AM
こんにちは。
私もあの歩道橋で目まいがしました。
改めて、山種美術館の御舟コレクションの
すばらしさに驚きました。
受付の方、まだ慣れていないのでしょうかね。
★一村雨さん、こんばんは。
ゆうゆうと走る車の上を歩かされる歩道橋ってなんなんでしょう。
開館記念にふさわしいコレクションですね。一挙にみられる機会ってそうそうないでしょうから、心ゆくまで楽しみたいものです。
受付というよりもぎりの方で、ベテランのようでしたから、慣れていないとかではなさそうです。
  • キリル
  • 2009/10/05 9:53 PM
こんばんは。

あの歩道橋がまた揺れること揺れること!
西口を使わずに歩道橋を避け道を横断できる
コースがあります。(特に帰りにお勧め)

渋谷駅から都バス(学バス)使ったり
六本木ヒルズからタクシーでも行ってみました。

恵比寿は美味しいお店が多くて困ります。
★Takさん、こんばんは。
ということは西口からでなくても遠回りにはならないということでしょうか。まあ、歩くのは大好きだし、歩道橋の上り下り自体は苦でも何でもないんですが、歩道橋というものが嫌いなもので。美味しそうな店がいろいろあって、目移りします。

ところで数日前からTakさんのブログにどうしてもコメントが入れられない状態になっています。最近JUGEMがなんとなくおかしい感じがするので、そのせいかなと思ったり。またトライしてみますね。
  • キリル
  • 2009/10/09 9:19 PM
こんばんは。
本日行って来ました。
係の方の件は、山種でばったりお会いした
遊行さんも同様のことをおっしゃっておられましたよ。
私は展示空間の狭さ、下がれない・椅子がない諸々が気になりました。
炎舞は初見で、戦慄ものでした。
  • meme
  • 2009/10/17 8:26 PM
★memeさん、こんばんは。

>展示空間の狭さ、下がれない・椅子がない

同感です。もし仕切りが動かせるものなら、出品点数を減らしてでも空間を確保してほしいものです。
正直いうと、千鳥ヶ淵のほうが好きでした。周辺にも茅場町がよかったという方が多いです。茅場町時代を知らなくて残念なんですが。
でも、どんな場所でも作品自体のすばらしさは変わりませんからね。炎舞は奇跡です!
  • キリル
  • 2009/10/17 9:22 PM
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック
恵比寿駅から駒沢通りを六本木方向に10分歩くと新しい山種美術館にたどりつく。途中、螺旋階段の歩道橋で一瞬、方向感覚が麻痺したり、巨大なダビデ像にぎょっとしたり、行きははじめての土地なので、ずいぶんと時間がかかったように思えた。これからは、何度となく通
  • つまずく石も縁の端くれ
  • 2009/10/05 8:23 AM
山種美術館で開催中の 新山種美術館開館記念特別展「速水御舟ー日本画への挑戦ー」のプレス内覧会にお邪魔して来ました。 10月1日に新しく広尾の地にオープンした山種美術館のこけら落としは「速水御舟展」!“御舟美術館”との呼び声も高い山種美術館です。当
  • 弐代目・青い日記帳 
  • 2009/10/08 10:17 PM

CALENDAR

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< December 2019 >>

ENTRIES

CATEGORIES

SEARCH THIS SITE

ARCHIVES

RECENT COMMENT

  • 栄西と建仁寺@トーハク
    キリ
  • 栄西と建仁寺@トーハク
    奈良県PR担当の油井と申します
  • タルコフスキー『ストーカー』をめぐるいくつかのこと
    キリ
  • タルコフスキー『ストーカー』をめぐるいくつかのこと
    あべ
  • 2011年の美術展ベスト5
    AR
  • 2011年の美術展ベスト5
    はろるど
  • 歴史を描く@山種美術館
    AR
  • 歴史を描く@山種美術館
    遊行七恵
  • 2010年の美術展ベスト10
    AR
  • 2010年の美術展ベスト10
    すぴか

RECENT TRACKBACK

RECOMMEND

LINKS

PROFILE

twitter

スマートフォン

OTHERS

MOBILE

qrcode

POWERED

無料ブログ作成サービス JUGEM

SPONSORED LINK