2008.10.10 Friday

大琳派展(東博)

東京国立博物館で尾形光琳生誕350周年記念特別展「大琳派展―継承と変奏―」(2008年10月7日-11月16日)をみてきた。
大琳派展01 大琳派展02

待ちに待った東博での琳派展。美術に関心をもつようになってまだ日が浅く、これほどの規模の琳派の展覧会をみたことがなかった。狩野派のような画派でなく、先人を慕い継承することで周囲から派と認められた巨人たちの偉大な足跡に触れる絶好の機会だ。
2回目はこちら

俵屋宗達

宗達_白象図・唐獅子図杉戸
俵屋宗達《白象図・唐獅子図杉戸》
京都東山の養源院にある杉戸絵。白象と唐獅子の裏表。もう一点が《唐獅子図・波に犀図》で、ともに上下の動きで阿吽の形式になっている。
なかでも白象の量感溢れる巨体と、なんとなくユーモラスな佇まいがすごく魅力があって、なんだか嬉しい気持ちにさせてくれる。唐獅子には気高さが感じられる。

宗達・光悦_鹿下絵新古今集和歌巻断簡
俵屋宗達下絵・本阿弥光悦筆《鹿下絵新古今集和歌巻断簡》(山種美術館)
鹿のしなやかな姿が、澄んだ空気感の広がりのある空間に描かれていて、気持ちがいい。《鶴下絵三十六歌仙和歌巻》など、このコンビによる金銀泥と墨のコラボレーションの美しさといったらない。

宗達_蓮池水禽図 宗達_鴨図
俵屋宗達《蓮池水禽図》/俵屋宗達《鴨図》
墨の技法が際立つ傑作ふたつ。水や空気が目に見えるような蓮池水禽図。片や、鴨のふっくらしたからだが墨の微妙な濃淡で描かれている。

日本の数ある絵師のなかでも、俵屋宗達がとにかく気に入っている。琳派のなかでも宗達の絵はダイナミックなところが魅力。
これこそ宗達だと確信できる作品はすばらしいものばかり。一方で、伝俵屋宗達とあるものの多くは宗達らしさが乏しく、やはり工房作品なんだろうと思う。「謎の絵師」宗達のことがもっとわかればうれしいのだけど。

尾形光琳

光琳_風神雷神図屏風
尾形光琳《風神雷神図屏風》
琳派を象徴する画題。本展では俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一に加えて、鈴木其一《風神雷神図襖》も出品される。
本展では細かく展示替えがあるのだけど、てっきり風神雷神図だけは全部だーんと並んでいると思い込んでいたので、まだ宗達のがなくてがっかりした。2年前に出光美術館でしっかり見比べているけど、久しぶりに並んでいるところをみたかった。
光琳の風神雷神図は宗達のそれをトレースして、位置関係その他を変更して構成したもの。いちばんの違いは明るさの印象だろうと思う。宗達のが黒雲も少なくて明るいのに対して、光琳のには悪天候を思わせる暗さがある。
グッズも光琳の風神雷神ばかりで、ちょっと悔しい。

光琳_燕子花図屏風左隻 光琳_燕子花図屏風右隻
尾形光琳《燕子花図屏風》
よくみると、絵具がべったりと置いてあって、細部の表現ではなくて、全体の構図、反復の美しさを楽しむものだというのがよくわかる。

尾形光琳の特徴はやはりその高いデザイン性だろうと思う。といいつ、実のところ、色など、それ以外の要素で光琳にはそれほど魅力を感じない。「琳」派なのにごめんなさい、という感じ。連れ合いは「コーリン鉛筆」を連呼していた。

酒井抱一

抱一_夏秋草図屏風
酒井抱一《夏秋草図屏風》
もともと光琳《風神雷神図屏風》の裏に描かれていたもの。風や雨に打たれる草を鋭敏な感覚で表現していてすばらしい。ようやく実物を目にすることができて感激している。
これに並ぶ感激だったのが《月に秋草図屏風》。立体感のある月に向かって伸びるような、しなやかな動きを感じさせる草が、繊細な濃淡表現で描かれている。なんて美しい屏風なんだろう。

これら以外にも抱一のすばらしい作品がたくさんあって、今回は抱一祭にしようかと思ったくらい。
抱一_宇津山図屏風
酒井抱一《宇津山図屏風》

抱一_柿図屏風
酒井抱一《柿図屏風》

酒井抱一_桜に瑠璃鳥図 抱一_白蓮図
酒井抱一《桜に瑠璃鳥図》/酒井抱一《白蓮図》

抱一_四季花鳥図巻
酒井抱一《四季花鳥図巻》

抱一の特徴はエレガントなところだろうか。繊細で詩情高い作品が多くて、とても優しい気持ちになれる。

鈴木其一

其一_群鶴図屏風
鈴木其一《群鶴図屏風》
其一の作品をまとまった点数みたのは初めて。以前にみたときにはそれほど印象がなかったけど、今回はとてもいいものが結構あって、感心した。琳派っぽくない作品がそこここにあったのが興味深かった。

「琳派」にくくられていても、それぞれに強い個性をもつ絵師たちが、継承し変奏し作り上げた作品が満載の、夢のような展覧会。すばらしければすばらしいほど、気合いが空回りして、感想はぐだぐだ、そして最後は尻すぼみになってしまう。

「絶対にもう一度行く」といつも言いながら、いつも行かないのだけど、今回こそはもう一度行くぞ・・・・・・本当か!?

2019.09.16 Monday

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コメント
こんにちは 
大琳派展、きっちりまとめて書いて下さって、もう一度行ってきたような気分になりました。

ほんとうに素晴しい展覧会で私など圧倒されてばかりで、感想も何回にも分けて書き連ねているしまつです。

28日過ぎにはもう一度《風神・雷神図》勢ぞろいを見に行くつもりです。
★すぴかさん、こんばんは。
僕は逆に、感想を何回にも分けて書く根性がないから、一気に済ませてしまう口です。そうして後から、あれもこれも取り上げればよかったな、なんて思うことになるんですけど。
風神雷神図の勢揃い楽しみですね。憧れや尊敬、超えたいという気持ちが入り交じった、琳派の精神のようなものを垣間見ることができればいいなと思っています。
  • キリル
  • 2008/10/11 9:33 PM
こんにちは。

新日曜美術館でも大々的に
取り上げていましたね。。。
火曜日からまた更に混雑しそうです。
風神雷神図屏風が揃う頃には
大変なことになりそうですね。

今回「蓮池水禽図」を
初めて観られたことが
一番の収穫でした。
★Takさん、こんばんは。
気がつかなくて遅くなりました。すみません。

新日曜美術館で大々的にですか。まずは平日だったのでまだ大丈夫でしたが、次は風神雷神図屏風が揃ってからの週末になりそうなので覚悟していきます。
蓮池水禽図はすばらしいですね。その後、琳派関連本でいろいろみると、またまたじっくりみたくなりました。
  • キリル
  • 2008/10/20 10:04 PM
こんにちは
平日に出かけましたが、随分な人出でした。
キリルさんは宗達派ですか。
わたしは光琳<乾山がベストのひとです。

本当によかったですよね〜
ちょこちょこ小さい琳派展も見てきましたが、
こういう大琳派展は絶後かもしれませんね。
  • 遊行七恵
  • 2008/10/22 4:10 PM
★遊行七恵さん、こんばんは。
光琳<乾山のことを以前にお聞きしていたので、どういう風にご覧になるか楽しみにしていたんですよ。
僕には宗達の風神雷神が神々しくみえるんです。そのせいで、ほかの作品も同じように輝いてみえるのかもしれません。単に金箔、金泥が好きなだけだったりして・・・。

初めてみた琳派展がこの「大」というのはとてもラッキーなことだったんですね。それでも大大琳派展がいつか開かれることを願っていきます。
  • キリル
  • 2008/10/22 10:34 PM
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