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2008.09.01 Monday

ミレイ展(Bunkamura ザ・ミュージアム)

ジョン・エヴァレット・ミレイ展Bunkamura ザ・ミュージアムでみた。
2回目はこちら

ミレイ展

いつかみたいと願っていたオフィーリアがやってくると知ってから、ずっと楽しみにしていた。あまりに有名なこの作品以外にあまり知らないせいか、ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829-96)というとラファエル前派のイメージしかなかったけども、「ラファエル前派兄弟団」を結成したのが1848年だったことを考えると、晩年まで活躍したミレイがいつまでもそこにとどまっていたわけがないはずだと得心した。

I ラファエル前派

自然を手本とし、詩や文学の物語との融合を試みたラファエル前派の画家たち。なかでもミレイはその「顕微鏡的なリアリズム」で知られ、一日中描いても「コイン一枚分しか進まない」というほど細部にまでこだわった。
ここでは中世的な主題から詩的な美への移行が示されている。

ミレイ_両親の家のキリスト
ミレイ《両親の家のキリスト(大工の仕事場)》(1849-50)
聖母のイメージを壊した醜い表情を筆頭に、リアルがゆえに悪評が高まったという。聖母の顔をじっくりと眺めてみたが、確かに額に刻まれた皺などで苦悩が描かれているものの、生涯を通じて唯美的であったミレイらしい美しさがあって、醜いとは感じなかった。幼いイエスは少女のようだ。
並べて展示されている2点の習作と比べながら、構図や意味合いの変化を探ってみるのもおもしろいだろう。

ミレイ_民を数える男爵
ミレイ《民を数える男爵》(1850)
頭数を数える男爵と農民たち。これを元にした油彩画が制作されなかったがために、習作とならなかった作品。魅力的な構図なだけに、油彩画になっていればどんなだったろうと興味が尽きない。頭のなかではすっかり勝手に完成イメージをつくってしまったけど。

ミレイ_マリアナ
ミレイ《マリアナ》(1850-51)
主題についてはいろいろと解釈されているようだけど、目に飛び込んできたステンドグラスと椅子の赤、その斜めの線の間にあるマリアナの青のドレスの美しさに目がくらむようだった。マリアナの蒼白で特徴のない顔が病的とみられたそうだ。

ミレイ_オフィーリア
ミレイ《オフィーリア》(1851-52)
『ハムレット』で語られるオフィーリアの狂気と死の場面。忠実に写生された自然と独特の表情をたたえた人物がささやくような詩の世界に収まっている。ミレイの「顕微鏡的なリアリズム」がいかんなく発揮された作品といえる。
あまりにみたいと願っていたせいか、すっかり勝手なイメージを作り出してしまっていて、実際にみてアレッと思った。草花の緑がもっとずっと深い緑だと信じ込んでいたのだ。このギャップは意外に大きくて、少々物足りなさを感じてしまったのが残念だった。それと、大画面でみると、隅々まで細密に描き込まれた絵は僕にとってはうるさすぎるかな。

II 物語と新しい風俗

同時代的なものへと広がりをみせる主題。

ミレイ_1746年の放免
ミレイ《1746年の放免令》(1852-53)
ジャコバイトの反乱で囚人となった夫の放免令を手に夫を迎える妻は裸足だ。劇的でないところが、細密な表現と相まって写真のようにみえる。犬の毛並みと存在感には驚かされる。
それにしても夫を引き取る女性の顔の表情はなんとも複雑で、いったいどういう心境なのか。待っている間にいろいろなことがあって疲れたようにもみえる。

III 唯美主義

1850年代半ば、ミレイの作風は主題を伴わない唯美主義的なものに劇的に変化する。

ミレイ_姉妹
ミレイ《姉妹》(1868)
色の構成が遠目からも目を引くとてもきれいな作品。ミレイの三人の娘のうち、右の少女だけがこちらに目を向け、残りのふたりはそれぞれ異なる方向に視線を送っていて、不自然な構図。場所を特定しないことで物語性を排除しているのだという。

IV 大いなる伝統

後に有名な探検家になる少年が船乗りの冒険譚に聞き入る場面を描いたミレイの代表作のひとつ《ローリーの少年時代》(1869-70)、再び宗教的な主題を取り上げるようになった最晩年の作品《聖ステパノ》(1864-95)など。

V ファンシー・ピクチャー

ミレイ_初めての説教 ミレイ_二度目の説教

ミレイ《初めての説教》(1863)
ミレイ《二度目の説教》(1863-64)
長女エフィーをモデルに、初めて描いたファンシー・ピクチャー(空想的な絵)。
どちらのエフィーも愛らしいけど、やはり教会で緊張しながら初めて説教を聞く姿のほうが微笑ましくて可愛らしい。

ミレイ_きらきらした瞳
ミレイ《きらきらした瞳》(1877)
若い女性のきらきらした瞳にやどる自信のようなものがすがすがしい。解説に「率直で偽りのない表情を浮かべ、鑑賞者と正面から向かい合う姿を描いたみずみずしい肖像画」とあるように、物質的にも精神的にもとてもみずみずしく、そして艶やかな印象。
この絵と説教2点に共通しているのは鮮やかな赤。結局のところ、鮮やかな青や赤に魅かれるという自分の単純な美意識を再確認してがっかりだけど。

VI 上流階級の肖像

なんか恐そうなミレイ夫人の肖像画《エフィー・ミレイ》(1873-74頃)、ミレイ最大の全身肖像画《ハントリー公爵夫人》(1870)など。

VII スコットランド風景

スコットランドで風景画の大作を21点描いたというミレイ。

ミレイ_吹きすさぶ風に立ちはだかる力の塔
ミレイ《吹きすさぶ風に立ちはだかる力の塔》(1878-79)
ネス湖ほとりのアーカート城。大学生だった次男ジョージ・グレイ・ミレイをチフスで失った悲しみを癒そうとして描いたという。
悲しみという感情が強く込められたようにみえる荒々しげな不安げな風景。ただ、暗い陸と城を縁取るような空の光はとても美しい。


これまでミレイの作品は、西洋美術館所蔵《あひるの子》(1889)など、限られた点数しかみたことがなかったので、本展でいちばん驚いたのは、大作が多かったこと。細密な絵のイメージが強すぎてそれほど大きな絵を描いていたとは想像しなかったのかも。
ミレイのことをよく知らなかったということを差し引いても、この展覧会は期待を上回るすばらしさだった。ラファエル前派には強い関心があったので、楽しめたのは当然だったけど、その後のミレイがまたそれ以上に魅力的だった。
想像をかき立てられる美しさのある絵が次々と現れ、うっとりさせられた。なので、久しぶりに図録を購入。
この後、Bunkamuraロビーラウンジでミレイ展記念デザートプレートを頼み、のんびり余韻にひたった。

出かける前、青春のロシア・アヴァンギャルド展のときに書いたアンケートの抽選結果を見ていなかったことに気づいて確認したところ、なんと当たっていた。今回の分のチケットは買ってあったので、もう一度みに行ける。展覧会がとてもよかっただけに、すごくうれしい。

2017.01.23 Monday

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コメント
そうです。ミレイはラファエル前派の画家としか
理解していなかったので、今回の展覧会はそんな
ミレイの全貌を知るよい機会となりました。
★一村雨さん、こんばんは。
ラファエル前派としての活動だけじゃないミレイの全容を知る貴重な機会になっていますね。画風は変わっていっていますが、生涯を通じて制作する姿勢は一貫していたように感じました。
  • キリル
  • 2008/09/01 9:36 PM
こんばんは。

ロイヤルアカデミーの会長にまで
登りつめた人と「知識」はあっても
実際の作品を観るまでは実感が
なかなかわかないものですね。
こんばんは
読むほどに、「早く行きたい〜〜」と念が募る募る(笑)。
わたしは二度目の説教の寝ちゃった顔の方が好みです♪

チケット当選おめでとうございます♪
こういう喜びがまたいい印象を育むんですよね。
  • 遊行七恵
  • 2008/09/01 10:38 PM
★Takさん、こんばんは。
早くから名声を確立していただけあって、今回来ている作品だけでも相当充実していますね。奥さんがエフィーだったおかげではないのかなと思ったのですが、本当のところどうだったのでしょう。

  • キリル
  • 2008/09/02 12:41 AM
★遊行七恵さん、こんばんは。
これから見る楽しみがあるというのも、それはそれで羨ましいです。
説教に眠ってしまった姿ももちろん微笑ましくて可愛いのですが、初めてで緊張感のある姿はけなげでした。
チケットが当たるというのはうれしいものですね。ロシア・アヴァンギャルド展で書いたアンケートですから、当選確率は高かったかも!?。今回は期待しないで待ってます。
  • キリル
  • 2008/09/02 12:44 AM
キリルさん、ご無沙汰しております。
アイレです。このたびブログを引越ししましたのでご連絡申し上げます。(新ブログはURLをご覧ください。そのうち旧ブログのデータも移行する予定です。)

私もミレイ展行ってきました。ラファエル前派だけかと思いきや生涯にわたる作品群が見れたのが大きな収穫ですが、「オフィーリア」「マリアナ」を見れた感動はそれに勝ります。
(ちなみにロシア・アヴァンギャルドでアンケートを書いたのですが、チケットは外れました…)
ではこれからもよろしくお願いします。
★アイレさん、お久しぶりです。
こちらこそどうぞよろしくお願いします。

ミレイの画業の変遷をたどる展示とはいえ、どのセクションがいちばんだったかと問われるとやっぱりラファエル前派のところになってしまうかな、と思います。
「うるさすぎる」なんてよくも書いたものだと・・・。
あたりチケットをもってもういちどゆっくり鑑賞してきますね。
  • キリル
  • 2008/09/25 11:22 PM
キリルさん、こんばんは
ようやく念願のミレイ展に行ってきました。
ミレイのいろいろな傾向の作品が見られてとても楽しかったです。
>幼いイエスは少女のようだ。
まったく同感です。記事には書かなかったのですが、彼の美少女ぶりにはすっかりまいってしまいました。(笑)
>鮮やかな青や赤に魅かれるという自分の単純な美意識を再確認してがっかりだけど。
お仲間ですね。僕も『きらきらした瞳』の赤が好きという単純な美意識の持ち主です。そうとは分かっているのですが、好きなものは好きだとあきらめの境地に達しています。(笑)
TBさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
  • lapis
  • 2008/10/10 11:54 PM
★lapisさん、こんばんは。
念願かなってよかったですね。僕もなんかうれしいです。
ミレイの美少女、美女にはほんとうにやられました。同じく、美しい絵が好きなことに理由なんていらない、と開き直りです。

  • キリル
  • 2008/10/11 12:22 AM
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ミレイ=オフィーリア=ラファエル前派という図式が頭に残っていた。だから国立西洋美術館にある「あひるの子」(今回のミレイ展に展示されている。)を見るたびにラフェエル前派の作品だとばかり思っており、またそんなことを他人に解説したこともあったのだが、大きな間
  • つまずく石も縁の端くれ
  • 2008/09/01 5:14 AM
Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の 英国ヴィクトリア朝絵画の巨匠「 ジョン・エヴァレット・ミレイ展」プレスプレビュー及び内覧会にお邪魔して来ました。 掲載している写真は主催者の許可を得て撮影したものです。 数あるUK-JAPAN 2008公認イベントの中
  • 弐代目・青い日記帳 
  • 2008/09/01 10:17 PM
ジョン・エヴァレット・ミレイ展9月6日 Bunkamura ザ・ミュージアム(〜10月26日)              「オフィーリア」で有名な画家、ジョン・エヴァレット・ミレイの展覧会に行ってきました。ラファエル前派は日本でも有名ですが、
  • saxblue note
  • 2008/09/25 12:32 AM
渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催されている「ジョン・エヴァレット・ミレイ展」を観てきました。チラシにも図録の表紙にも「オフィーリア」が載っています。なんと言っても、今回の展覧会の「目玉作品」です。いや、こういう絵は、なんとなく女々しくて、僕は好
  • とんとん・にっき
  • 2008/09/29 11:00 AM
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  • カイエ
  • 2008/10/10 11:46 PM
'08.10.25 ジョン・エヴァレット・ミレイ展@Bunkamuraザ・ミュージアム ずっと見たくて、でも何故か行こうとすると予定が入ってしまって行けなかった。10月に入ってL'la Padoから以前応募しておいたプレゼントの招待券が届いた! 素敵☆ ということで終了前日25日に
  • ・*・ etoile ・*・
  • 2008/11/09 4:47 AM

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