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2007.04.29 Sunday

「国立ロシア美術館展」をみて

国立ロシア美術館展 ロシア絵画の神髄」をみに、東京都美術館に行ってきました。ペルジーノ展に続いて初日でしたが、別に初日ねらいではなくて、たまたまです。どの展覧会にいつ出かけるかは、あまり計画せず、わりと適当なものですから。

ロシア美術館展チラシ
ロシアが誇る、「金の時代」といわれる18世紀後半から20世紀初めまでのロシア美術を日本で初めて、本格的かつ体系的に紹介する本展にご期待ください。
「オルセー美術館展」での混雑の記憶がまだ新しいなか到着すると、拍子抜けするほど空いていました(というより、むしろガラガラで、寂しいくらいでした)。ロシア美術はそれほどなじみも関心もないということなのでしょうか。
西欧の絵画を収蔵するエルミタージュ美術館やプーシキン美術館とは違うのはわかりますけど、見逃すのはもったいないと思います。

.古典主義の時代(18世紀後半)
古典主義の肖像画が中心。それに風景画が加わっていきますが、人出のなさも手伝ってやや地味なはじまり。

.ロマン主義の時代(19世紀前半)
地味な印象のまま、淡々とみていくと、突然、海景画家アイヴァゾフスキーの大作が登場し、にわかに気分が盛り上がってきました。ロンドンなどで最近ロシア美術のオークションが盛んですが、そのなかでもとりわけ人気がある画家のひとりのようです。
アイヴァゾフスキー《天地創造》(1864)
《天地創造》(1864)。「創造主が地・水・火・風の四大元素を分ける瞬間が描かれている」となっているように、神々しいダイナミズムと美しさに満ち溢れています。9時間で描き上げたのだそうです。

アイヴァゾフスキー《月夜》(1849)
《月夜》(1849)。月光に魅せられていた頃の作品。光の効果が海を舞台にいっそう高められているように思います。

.リアリズムの時代(19世紀後半)
ロシア美術史において、アヴァンギャルドと並んで最も有名な移動派が出現、絵画世界が一気に広がっていきます。文学、音楽の世界でも、誰もが知っている巨匠たちが活躍した、ロシア芸術のもっとも輝かしい時代でもあります。
すばらしい肖像画が並んでいます。

クラムスコイは「移動展協会」の理論的指導者。
クラムスコイ《虐げられたユダヤの少年》(1874)
《虐げられたユダヤの少年》(1874)。厳密には肖像画ではないのに、肖像画に近いといわれています。肖像画に匹敵するような人間性が、いじめられ孤独な佇まいをみせる少年に宿っているからでしょう。少年の表情、身体から溢れる鬱屈した感情のようなものに強く惹きつけられます。

クラムスコイ《ソフィア・クラムスカヤの肖像》(1882)
《ソフィア・クラムスカヤの肖像》(1882)。画家の娘16歳のときの作品。人柄や性格をうかがわせるような、魅力的な女性がやわらかな色で描かれています。内気そうでありながら、生真面目で意志の強そうな表情が魅力です。

なぜかクラムスコイの肖像画以上に魅かれたニコライ・ゲーの作品。
ゲー《オリガ・コスティチェワの肖像》(1891)
《オリガ・コスティチェワの肖像》(1891)。さっぱりとした地味な印象を受ける肖像画ですが、とても魅力的に感じました。画家とモデルの微妙な距離感というか関係性がしっかりと写しだされ、独特の空気感が出ています。全体に地味な印象のなかで、顔を輝かせるような表現方法が魅力を高めているのかもしれません。離れてみるとさらにきれいでした。

そして、ロシアで19世紀最高の画家とされるイリヤ・レーピン。
レーピン《ニコライ2世の肖像》(1896)
《ニコライ2世の肖像》(1896)。皇帝という地位ではなく、人間性を描ききろうとした画家の表現に驚嘆しました。たしかに玉座に向かって光が射し込んでいたりするのですが、それは場所の雰囲気を描く表現法であり、象徴的に描いたもののようではないように思えました。ここにいるのは心優しそうなひとりの人間ニコライです。
このほかにもいくつかの肖像画がありますが、どれもとても魅力的です。

レーピン《何という広がりだ!》(1903)
《何という広がりだ!》(1903)。リアリズムの巨匠がこうした空想的な絵を描いたことがさまざまな反響を呼び起こしたそうです。ダイナミックな海の表現と動きのある人物が混じり合って、なんとも表現し難い感情の高まりが呼び覚まされます。
「来るべき未来に対しての希望なのであろうか、それとも警告なのであろうか」―どちらかというと希望に満ちた高揚感のようなものに思えましたけど。

ニコライ・ヤロシェンコ。
ヤロシェンコ《イヴァン・クラムスコイの肖像》(1876)
《イヴァン・クラムスコイの肖像》(1876)。ヤロシェンコが描いた画家クラムスコイ。熊川哲也に似ているので載せてみました。強い意志と自信がうかがえるところも似ていませんか。

イヴァン・エンドグロフ。
エンドグロフ《春の訪れ》(1885)
《春の訪れ》(1885)。まだまだ寒そうな冷たい風景のなかに、春の輝きが伝わってくる美しさ。来るべき光の魅力があふれています。

自然を探究しつづけた画家シーシキン。
シーシキン《冬》(1890)
《冬》(1890)。雪に覆われた、冷たい空気にまとわれた森がまさに目の前にあるようでした。徹底して自然をみつめる姿勢に心打たれます。

同時代のポーランド生まれの歴史画家ヘンリク・シェミラツキ。
シェミラツキ《マルタとマリアの家のキリスト》(1886)
《マルタとマリアの家のキリスト》(1886)。ぱっとみると日常風景を描いた風俗画かと思いました。人物の表情や佇まい、風景の豊かな表現力が作品にリアリティを与えています。細部が見事に描き込まれていて、好感のもてる作品に仕上がっています。

ロシア印象派の発展に貢献したとされるアルヒープ・クインジ。
クインジ《森に注ぐ月の光、冬》(1898-1908)
《森に注ぐ月の光、冬》(1898-1908)。風景画でありながら何か違うものを描いているような気がしました。独特の風合いに何か落ち着いた魅力を感じます。腐海みたいですけど。

.転換期の時代(20世紀初頭)
多様な表現が模索され始めた時代。

フィリップ・マリャーヴィンだけ取り上げてみました。
マリャーヴィン《ヴェールカの肖像》(1913)
《ヴェールカの肖像》(1913)。農婦の肖像とは思えないような強烈な表現に釘付けされました。女性の内面から力強さが伝わってきました。


ロシア絵画の金の時代のおよそ150年間を駆け足でみてきました。ロシア美術はたしかにマイナーですが、すばらしい作品がたくさんあって、西欧の美術とはまたちがった魅力に触れられたような気がします。

ロシア美術館展図録
展覧会グッズもいろいろ揃っていました。いつもなら絵葉書を選ぶのも大変ですが、とにかく空いていたので、じっくり見て楽しめました。ボールペンなどチェブラーシカのグッズもいくつかありました。
空いているのはみやすくてうれしいけど、やはり多少は賑わっていてほしいものです。

2017.01.23 Monday

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コメント
これは関西にも来るらしいので待ってます。
>森の注ぐ月の光、冬・・・腐海みたいですけど。
同意します。ほんと、そう見えます。
チェブラーシカのグッズも販売ですか。
なんとなく楽しみです。
  • 遊行七恵
  • 2007/04/29 10:56 PM
>遊行七恵さん、こんばんは。
まだしばらく先ですけど、楽しみにお出かけください。
クインジの作品(《森に注ぐ月の光、冬》でした。ごめんなさい。訂正しました)はちょっと異色で、ほかの作品もみてみたいと思いました。
チェブラーシカの上映会も予定されているので、そうなるとたくさん集まるかな。チェブの缶にはちょっとひかれて、しばらくいじっていたのですが、なんとか思いとどまりました。
  • キリル
  • 2007/04/30 1:41 AM
キリルさんこんにちは。
私も行ってきましたよ♪

ロシアの美術というのは、東洋や西洋に分類できないような、独特な魅力をもっている気がしました。
全体的にとても好きな雰因気の絵ばかりだったので、大満足です。
風景画、素晴らしかったですね!

平日だったからでしょうか。
意外に空いていたのでもったいないなーと思いました。

TBよろしくお願いいたします。
>marimoさん、こんばんは。
marimoさん好みの作品がたくさんあってよかったですね。私もですけど。ロシアは西洋でも東洋でもあり、西洋でも東洋でもなし、という感じでしょうか。
どうも土日でも空いているみたいです。本当にもったいないですね。
  • キリル
  • 2007/05/13 11:29 PM
キリルさん、こんばんは
この展覧会、予想以上に素晴らしかったですね!
特にキリルさんもあげられている「ソフィア・クラムスカヤの肖像」は、お気に入りの作品です。
TBさせていただこうとしたのですが、上手く行きませんでした。日を改めて再挑戦したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  • lapis
  • 2007/05/23 12:37 AM
>lapisさん、こんばんは。
この展覧会の評判が結構いいので、なんだか私も嬉しいです。
なかなかバラエティに富んだ作品が集まっていましたね。《ソフィア・クラムスカヤの肖像》を含め、一連の肖像画がとても印象に残っています。

ぜひもう一度TBしてみてください。お待ちしてます。
  • キリル
  • 2007/05/23 11:16 PM
はじめまして。
このロシア美術館展を昨日みてきました。(大阪です)

オリガ・コスティチェワの肖像がとても気に入ったのですが、絵葉書にもメモ帳にもなってなくてガッカリ。
イヤホンガイドでも解説してるのになぁ。
(TT)

他の肖像画に比べて、地味な絵ですが眼の輝きが印象的で、一番のお気に入りでした。

大阪で日曜にみましたが、やっぱりガラガラな感じでしたよ。すいてて見やすかったのでいいんだけど、もったいないですよねぇ。
(時期外れのコメントですみません)
  • m
  • 2007/12/03 3:27 PM
★mさん、はじめまして。
大阪でも(やはり!?)ガラガラでしたか。レーピンをはじめ、なかなか魅力的な作品が揃っていると思うんですけど、残念ですね。
オリガ・コスティチェワの肖像は一見地味ですけど、眺めているとキラキラしてくるものがあって、私も一押しです。程よい混雑のなかでみてみたいものです。
  • キリル
  • 2007/12/04 12:14 PM
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上野の東京都美術館で開催されている「国立ロシア美術館展〜ロシア絵画の真髄〜」を見に行きました。 展覧会には18世紀から19世紀のロシアの貴族、農民を含めさまざまな人々、その風景、生活、そして自然にいたるまで、素晴らしい絵画が並べられていました。
  • MARIMO
  • 2007/05/14 10:25 PM
レオナルドの『受胎告知』を観賞したついでに、東京都美術館で開催されている「国立ロシア美術館展 ロシア絵画の神髄」にも行ってきた。この展覧会、知っている画家は一人もいなかった。しかし、内容は予想以上に素晴らしかったので、今さらではあるがメモがわりに記事
  • カイエ
  • 2007/05/24 10:06 PM

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