2016.04.10 Sunday

萩尾望都SF原画展@吉祥寺美術館


「萩尾望都SF原画展 宇宙にあそび、異世界にはばたく」をみに、武蔵野市立吉祥寺美術館に行ってきた。
この美術館って開館が2002年2月らしく、ちょくちょく吉祥寺に行っていたころにはまだなかったので、今回が初めてだった。

SFが生活のかなり重要な部分を占めていた十代のころ、当然ながら漫画もSFから入ることが多かった。手塚治虫しかり、松本零士しかり、萩尾望都もそうだった。そしてSF成分が高いことはその後も読み続ける重要な要素だった。
記憶は定かではないけど、萩尾望都のことを知ったのはSFマガジン連載の『百億の昼と千億の夜』。そこで知ったおかげで、『ウは宇宙船のウ』『11人いる!』『銀の三角』『スター・レッド』『マージナル』『バルバラ異界』という傑作に出会えた。
だから自分にとって萩尾望都はSFの人なのだ。だから、代表作のひとつ、『トーマの心臓』やなんかを読んだのはずっとずっと後になってから。だってSFじゃないから。


そんなわけで今回の展覧会はなんと「SF原画展」。上に挙げた作品群の漫画原稿や扉絵、本の表紙絵なんかが集まった、まさにど真ん中なのだ。

展示は『あそび玉』から始まる。このあたりの作品はとくに相方の担当なので、いくつかの作品について解説をきく。
好きさではトップ3に入る『11人いる!』とその続編は少なめでちょっと残念。それにしてもこのタイトル、なんてすばらしいのだろう。これ以外のタイトルは考えられない。アニメ版は最低でしたが。
『スター・レッド』は鮮やかな赤が刺激的。大昔にいとこに貸したまま返ってきていない。
『百億の昼と千億の夜』の美しい阿修羅に続いて、大好きな『ウは宇宙船のウ』。『霧笛』や『宇宙船乗組員』の展示はなかったけど、この作品集は何度読んだかわからない。原作とこれほど相性のいい絵はほかにないと思う。
『銀の三角』はSFマガジンの連載で読んだ。難解で、ない想像力をひたすら絞り出した。そのご単行本でも読んでいるが、やはり難しかった。最後に読んでからだいぶ経っているので、また読んでみよう(というか、展覧会にあったどの作品もまた読みたくなるに決まっている)。
『マージナル』のカラーイラスト群も美しかった。萩尾望都は色の人だと思った。カラー作品は配色が魅力的だし、白黒でも色味が感じられるのだ。
文庫本などのカバーイラストもたくさんあったし、それ以外にも知らないものや、すっかり忘れていたものもあった。『SFファンタジア』や『奇想天外マンガ全集』に掲載されていたものもあって、これらを売ってしまってあらためて後悔している。

萩尾望都の漫画に対する熱い気持ちが充満している会場。もう一回、もう一回と何度も回って去り難かった。できたらもう一度訪ねたい。


本格的なSFを魅力的な絵で紡ぎだす、最高にすばらしいSF作家。個人的にはずっとSFを描いていってほしいけど、どんな漫画でも応援し続けます。

2013.08.07 Wednesday

エヴァンゲリオン展@松屋銀座

「エヴァンゲリオン展」東京展 松屋銀座8階イベントスペース 2013.8.7-8.26

エヴァンゲリオン展

アニメとしてのエヴァンゲリオンに焦点を絞った本格的なエヴァ展。

エヴァ展拡張グッズ売場

TVシリーズのセル画、貞本エヴァの漫画複製原画、新劇場版の各種設定資料、生原画などで構成され、アニメーションとしてエヴァンゲリオンがどう作られていったのかを知ることができる。これがほんの一部なのだから、かかわる人や手数のすごさが想像できるというもの。アニメは物量だ!と思える。

TVシリーズのセル画も思っていた以上に丁寧で緻密だったし、貞本義行の漫画版の複製原画は印刷よりずっときれいだったし、新劇場版の設定や背景の細かさに、手間を惜しまずにいいものを仕上げるという強い想いを感じた。
アニメーションにする過程として破の第8使徒戦が取り上げられていたが、あの驚異の場面が、(サッカー日本代表ではないが)個と集団のちからが組み合わさって誕生するところをまざまざとみせられて、感激するしかなかった。

ハイライトはやはり原画だろう。複製原画でも十分に堪能できるが、生原画の息づかいには溜息が出た。自分は、誰の作画なのかというのは少ししかわからないけども、独特のなまめかしさがある本田雄の画には惹かれる。
エヴァンゲリオン好きならもちろん行くに決っているだろうけど、アニメ好き、とくに原画好きには絶対にみてほしい展覧会だ。
会場内にはバッハの無伴奏チェロ組曲が流れていました。

グッズもたくさん揃っていて、散財すること間違いなしです。
松屋銀座ポイントカード
松屋銀座でほとんど買い物したことないのに、ポイントカード作っちゃいました。

エヴァ展エレベータ エヴァ展B1ディスプレイ
画像を追加しました。


2010.08.16 Monday

押井守と映像の魔術師たち@八王子市夢美術館

八王子市夢美術館「押井守と映像の魔術師たち」 2010.7.16-9.5

押井守と映像の魔術師たち

『イノセンス』をはじめとする押井守作品のキャラクター、メカ、美術など各種設定と、フィギュアその他の造形作品を中心に、ロケハン写真などを合わせて、押井作品の世界観づくりを眺める展示となっている。

いきなり『イノセンス』の各種設定資料、なかでもプラント船のマニアックなほどに細かな美術設定に度肝を抜かれる。造形作品や小物へのこだわりも半端ではない。そうした緻密な設定によって作品世界を押井守とスタッフが共有しているのだということが容易に想像できる。各設定を描いたスタッフの名前がクレジットされていればよかったのだが。

この展覧会の最大の目玉は、2000年に公開予定だったものの企画が凍結されている『ガルム戦記』の人物やメカの造形作品ではないかと思う。どれも独特の異様なデザインと造り込みによる存在感に圧倒される。是非とも再開、完成を望みたい。
『ガルム戦記』のことはよく知らないのだが、諸般の事情があって凍結されたのだろう、権利関係等で差し障りがあってか、図録でもまったく触れられていないのが残念極まりない。

押井守が好きでなければもしかすると退屈するかもしれないが、アニメ好きなら、設定資料を眺めるだけで時間が過ぎていくこと請け合いだ。
ちなみに自分の場合、もしかして押井守ファンではなく、ただ攻殻機動隊が好きなだけなのかもしれないとも思いつつも、押井守と映像の魔術師たちが創り上げる独特の世界観にワクワクしたいのだと、しばし妄想をめぐらせた。

2010.05.03 Monday

鶴田謙二原画展

 「鶴田謙二原画展」を代々木上原駅近くのGALLERY IN Fieldsでみた。

鶴田謙二原画展鶴田謙二原画展02

ふだんから漫画情報はほとんどチェックしていないので、書店で見て、出たのかと気づくことが多い。あと、面白そうなものを衝動的に買うこともある。
鶴田謙二の場合、コミック『Spirit of Wonder』を偶然手に取って、SFっぽい雰囲気が漂っていたことがまず一番、そして好きなタイプの絵そうだったので、即買いした。1997年発売作品だから、その当時のことだと思う。なかみは、SFマインドあふれる空想科学的な作品集で、とても気に入った。
寡作なので、キャリアのわりに漫画作品は少ないが、最近、梶尾真治原作の『おもいでエマノン』『さすらいエマノン』と出ているので、順調なほうか。個人的にはSFではない『Forget-me-not』もお気に入り。いつか第2巻が出ることがあるのだろうか。
一方、本の表紙など、イラストの分野でも活躍している。創元SF文庫の<キャプテン・フューチャー全集>が有名(この全集の画集刊行が早くから告知されていたが、年単位で遅れている)。


鶴田謙二原画展03
このギャラリーの1、2Fの壁に、イラストや漫画の原画が展示されていた。一部を除いてほとんどがカラー。
漫画の『Spirit of Wonder』、『Forget-me-not』、画集『コメット』あたりが中心で、いくつか知らない作品があった。

鶴田謙二の空想科学的な作風が好きだなと感じながら、仕事がいくら遅くても仕方ないと思えるような緻密な描き込み、色使いに惚れ惚れした。原画ってほんとうにいいものだ。

6枚セットのポストカードが3種販売されていて、各500円。やっぱり全部買ってしまった。
鶴田謙二原画展ポストカード


2009.10.10 Saturday

安野モヨコ展 レトロモダンな世界

 「安野モヨコ展 レトロモダンな世界」弥生美術館でみた。

安野モヨコ展

安野モヨコの漫画は読んだことがない。安野モヨコ原作漫画をアニメ、テレビドラマ、映画にしたものもまったくみたことがない。
ただ、『オチビサン』だけは気に入って読んでいる。それと、安野が描いたイラスト、とくに女性を描いたものをたまに見かけて、ひと目でわかる特徴的で魅力的な絵が気になっていた。

そういう、安野モヨコのオチビサンや女性イラストが好きな人にはビンゴの企画だ。少し長いが、美術館HPの案内を引用する。
本展は、これまで安野モヨコが描いてきた漫画ではなく、ポショワールで描いたレトロモダンなイラストを中心とした展覧会です。
 ポショワールとはフランス語で、主に薄い金属版を型抜きし、その孔に合わせて上から刷毛で手彩色する技法です。英語のステンシル、日本では合羽刷りに相当しますが、ポショワールはそれらを極めて高度に技巧化した手法といえます。
安野は試行錯誤の末、独自の紙をイメージにあわせて自由に型抜きし、慎重に絵具を重ねながら彩色する、安野流ポショワールといえる手法を生み出しました。
 本展では、この技法を使って描いた『朝日新聞』(日曜版)での連載「オチビサン」の原画やスケッチ、新たに描き下ろしたレトロモダンな日本女性の新作イラスト等を展示し、安野モヨコの画家としての新たな一面をご紹介いたします。
まずはオチビサン。原画の色は当然ながら新聞紙面の色とは全然違って、とてもきれいな発色。毎回、イメージカラーを決めて描く手法の魅力が、原画でみると数倍にも感じられる。
オチビサンは連載開始当初、わりとストーリー性があって、漫画的だった。それが、回を重ねる毎に、作家の関心が季節感をどのように色で表現していくかに移ったように感じていたのだけど、たぶん、そうしたものへの関心とともに、それを表現するための、ポショワールという手法が洗練されていったことが影響しているのではないかと想像したり。オチビサンの最大の魅力は、オチビサンと仲間たちの日常が、季節の植物や風物詩とともに美しい色で描かれていることだろう。
原画とともに展示されているスケッチも楽しい。

レトロモダンな日本女性
安野モヨコの3枚入りイラストカードセットが3種類売られていて、全部買ってしまった。
安野モヨコ01安野モヨコ02安野モヨコ03
安野モヨコ04安野モヨコ05安野モヨコ05
安野モヨコ07安野モヨコ08安野モヨコ09
好みはあるとは思うけど、とても魅力的で美しい。魅力ある女性の背景にはデザイン化された植物たちが配置され、女性と背景の色が絡み合って一体化しているよう。

弥生美術館の3Fという小さな場所が、安野モヨコ色に染まり、とても魅力的な空間に変化していて、じんじんと感激した。なるほど、この美術館で開くわけがあるんだなと納得させられた。
それにしても"魅力的"という言葉を使い過ぎですね(反省)。ただ、単なるきれいさとかとは違うものを感じるので、なかなかほかの言葉が使えなかった。安野モヨコの絵の魅力は、少なくともこの展覧会でみるかぎり、長調的ではなく短調的なところにあるような気がしていて、僕の場合はそこに魅かれている。
たぶん、もう一度みにいくと思う。でも、出かけるのは10月30日発売予定の『蔦と鸚鵡ー安野モヨコ紙版画集』を手に入れてからにしよう。

蔦と鸚鵡チラシ

さて、弥生美術館1・2F展示室では「日本で愛された少女雑誌『少女の友』展」が開かれている。
明治41年から昭和30年まで48年の長きに渡って少女たちを魅了した雑誌を振り返る展示。読み物もおもしろかったのだろうが、変遷をたどる展示をみたところ、中原淳一らのイラストをはじめ、ビジュアル面がとくに人気を支えていたのだろうと想像される。付録もいろいろとあって、これは当時としてはなかなかすごいのではないかと思う。
少女雑誌はさすがに守備範囲ではないけど、なかなかおもしろい展示だった。「昭和少年SF大図鑑展」とは対極にある展覧会なだけに、客層も圧倒的に女性が多かった。


2009.07.29 Wednesday

昭和少年SF大図鑑展(弥生美術館)

 弥生美術館にて「昭和少年SF大図鑑展 S20〜40' ぼくたちの未来予想図」をみてきた。

昭和少年SF大図鑑展

昭和20〜40年代の少年少女雑誌を彩った未来の乗り物、兵器や宇宙人の表紙、挿絵、漫画など。
ぱっとみただけで、あー昭和の絵だなーなんてほのぼのとした感じになるんだけど、よくよくみると、これがどうして斬新な絵がたくさん。古びた感じが全然しなくて、今でも十分未来図として通用しそうなものもけっこうある。
当時これを目にしていた少年少女たちが、今あらためてみると、懐かしさだけでなく、こんなに凄いものをみていたのか、と新鮮な気持ちにさせられるのではないだろうか。そう思わせるくらいの力作が揃っている。

僕がSF少年になった中学生の頃に、本展に登場する作家たちがまだ活躍していたかどうかは知らない。確実に記憶していたのが、光瀬龍作品の表紙を多く手がけている金森達くらいで、小松崎茂のことも、知るのは後のこと。
今回、原画に魅かれたのは小松崎茂と高荷義之の作品が多かった。プロフィールをちょっと眺めたところ、高荷は小松崎の弟子になってすぐに独立したという。しかも高荷は今もバリバリの現役とのことで、これには正直かなりびっくりした。お馴染みのアニメ作品なんかにもいろいろかかわっているし。

そういう作家たちが表紙を描いた講談社の少年少女向け科学冒険シリーズが並べられていた。僕が後にハヤカワ文庫や創元推理文庫などで読むことになるハインライン、アシモフ、ベリャーエフなんかが、当時から子供たちに紹介されていたなんて驚き。
余談だけど、ハインライン『宇宙戦争』というのがあった。『宇宙戦争』といえばH・G・ウェルズの名作だけど、ハインラインのそれって何だろうと気になった。それでググってみたところ、ウィキペディアによると、《Between Planets》『栄光の星のもとに』の児童向け抄訳版らしい。

まあそんなこんなことをつらつらと考えたり、自分の少年時代を想いだしたりしながら、楽しんだ。僕が出かけたとき、ちょうどその頃リアルタイムの昭和少年だったらしき男性が時間をかけて熱心に見入っている姿があって、ちょっとうらやましかった。



2006.08.13 Sunday

「安彦良和原画展」をみる

八王子市夢美術館に「安彦良和原画展」をみに行ってきました。八王子に行く用があったついでに行ったのですが、たまたまこの展覧会が催されていたので、なんてついてるんだと思いながら、連れ合いと出かけました。

電車に乗っている間に一時大荒れの天気になったこともあって、八王子に到着してから念のためバスで行きました。

八王子市夢美術館 安彦良和原画展

美術館は建物の2階にあります。こちらの美術館も「ぐるっとパス2006」で入場できるので、松岡美術館に続いて2度目の利用です。でも、入場券売り場にこの展覧会のチケットが置いているのをみると、この半券がほしいなあと思いました・・・・・・。まあチラシがあったので我慢するとしますか。

 安彦良和原画展チラシ

アニメ制作会社に所属していた時代の代表作から現在のマンガ家としての数々の作品まで、下絵なども含めて原画300点が紹介されています。思っていたよりも多く展示されていて、とにかく大満足です。
「勇者ライディーン」「機動戦士ガンダム」などのアニメの仕事から、「アリオン」「ナムジ」「虹色のトロツキー」「ジャンヌ」、そして現在執筆中の「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」などのマンガまで、傑作だらけです。「さらば宇宙戦艦ヤマト」の映画ポスター原画までありました。

安彦良和さんの絵は、技術だけでなく、内面まで描かれた構図、背景も含めて本当にうまい! どの絵をみてもため息がでるほどです。もうただただみとれるばかりでした。最初の頃からこれほど画力のある作家はそうそういないのではないでしょうか。
安彦良和全仕事集』も持っていますが、原画はそのタッチの細かいところまでよくみえて、本当に感激しました。ひとつひとつ時を忘れて見入ってしまいました。八王子に用事があるなんて、ほんとうにラッキーでした。

本当はもうひとまわりしたいぐらいでしたが、予定の時間が迫っていたので、あきらめました。
うまいなあ、うまいなあ、を連発しながら会場を出ると、今回の原画展のカタログが販売されていました。立派な本なので、4200円というなかなかの値段だったのですが、やはり我慢しきれずに、買ってしまいました。宝物にします。

 安彦良和原画展

アニメやマンガに興味のない方でも、もし機会があれば訪れてみてはいかがでしょうか。だいたいが水彩ですが、安定した画力に驚くと思いますよ。
9月18日までなので、関東地方の方はお見逃しなく!

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