上原彩子ピアノ・リサイタルを
サントリーホールで聴いた。
今年最初のライブは上原彩子で、3年ぶり。前回は正直それほど印象に残らなかったけど、今回はとてもすばらしい演奏だった。肩に力が入っていない軽やかなタッチと美しいピアノの音が絶妙のバランスを保ち、とても魅了された。
現代曲を2曲も取り入れた意欲的なプログラムだったけど、メリハリがあって飽きることがなく、充実していた。
現代曲は取っ付きにくい印象があって、これまであえて聴いたことがなかったので、一柳慧もグバイドゥーリナもまったくの初めて。
最初の曲が一柳慧<ピアノスペース>。2001年作曲ということで、まさに現代曲。始まる前は、眠ってしまうのでは心配したけど、とくにそういうこともなく、意外に聴けるものだなと思いながら興味津々に聴いた。
続いて、グリーグ「抒情小品集」から6曲と、グリーグ<ピアノ・ソナタ ホ短調>(Op.7)。情感豊かなグリーグ作品の情景が目に浮かぶようだった。
後半はまず、グバイドゥーリナ<シャコンヌ>。1962年の作ということもあるのか、取っ付きにくさはまったくなく、緩急が刺激的な魅力的な曲で、素直に感激した。現役の作曲家なので、これ以降、どう変化しているのか知るのは恐い気もするけど、もっとほかに聴いてみたくなった。
最後は、プロコフィエフ<ピアノ・ソナタ第8番 変ロ長調>(Op.84)。プロコフィエフのピアノ・ソナタの頂点を成す「戦争ソナタ」のひとつ。艶やかな演奏で叙情性豊かな曲のさまざまな色をみせてくれた。前の曲に戻るけど、このソナタを聴いたことで、グバイドゥーリナはやはりロシア・ピアニズムの系譜にあるんだなあという印象を強く持った。
アンコール曲は、リスト<愛の夢 第3楽章 変イ長調>、リスト<超絶技巧練習曲 第5番 鬼火 変ロ長調>、ラフマニノフ<24の前奏曲 第6番 ト長調>の3曲。
サントリーホールというすばらしいホールのおかげもあるだろうけど、上原のテクニックとピアノの美しい音に包まれ、大満足のリサイタルだった。僕だけでなく、多くの聴衆が満足している空気がホールを満たしていた。やはりライブは最高!
以前の記事で書いたと思うけど、今年はわりとピアノを聴く回数が多くなりそう。コンサートについては気が向いたときだけ感想を書くというスタンスで、これからもいきます。
そうそう、今さらながら、昨年のベストは、感想は書いていないけど、12月8日、東京オペラシティ・コンサートホールでの「ワディム・レーピン ヴァイオリン・リサイタル」でした。