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2012.08.14 Tuesday

タルコフスキー『ストーカー』をめぐるいくつかのこと

ユーロスペースで開催中のタルコフスキー生誕80周年記念映画祭に行ってきた。前半に行けなかったので、後半のスケジュールのなかから『ストーカー』と『鏡』の2本に絞って観ることにした。時間があえば、ほかに『アンドレイ・ルブリョフ』や『僕の村は戦場だった』も観たかったのだが・・・。
(注:これは映画の感想ではありません)

タルコフスキー映画祭

ストーカー(1979年 モスフィルム)
原作はストルガツキー兄弟『路傍のピクニック』(邦題『ストーカー』)で脚本も兄弟の手によるもの。だが、アルカージー&ボリス・ストルガツキーは監督から10回ほどもシナリオを描き直させられたうえ、最終的には脚本家が意図したものとはまったく違う作品に仕上げられた。
実はこの作品、一度完成したものが現像の失敗で消滅しているらしく、現存する『ストーカー』は後に撮り直しされたバージョンである。

映画に登場するガイド役の“ストーカー”は「気弱なインテリ」だが、原作でもシナリオでも彼は<ゾーン>から命がけでブツを運び出して生活している密猟者(=ストーカー)だ。最初の完成時はおそらくシナリオに近い人物造形だったものが、撮り直されたときにどうやら変更されたらしい。ストーカー役のアレクサンドル・カイダノフスキーは、ニキータ・ミハルコフ『光と影のバラード』のようにアクションで知られる俳優だけに、アウトローの雰囲気にぴったりで、そんなことからも、当初の構想は原作寄りだったはずだ(この役柄変更は、以前から俳優業に矛盾を感じていたというカイダノフスキーには辛かったのか、このあと監督業へと転身している)。
主人公の造形変更とともに議論を呼ぶのが、最後のシーンだろう。シナリオではストーカーの妻によるモノローグのあとにあるのは、映画のようなシーンではまったくない。映画でのラスト・シーンに監督が込めた意味を推察することはできるが、やや唐突な印象がある。

このあたりの経緯のいくつかは、シナリオの1本として発表された『願望機』に詳しいし、それ以外にもタルコフスキー研究者がいろいろ書いているので、興味があれば探してみるとおもしろいかもしれない。
研究書を読まなくても、映画『ストーカー』を観て、原作の『ストーカー』(ハヤカワ文庫)とシナリオ『願望機』(群像社)を読めば、どっぷりとこのゾーンをめぐる物語に触れることができるので、いちどお試しあれ。
(ところで、ハヤカワ文庫の『ストーカー』はもしや絶版? もしそうなら、そろそろタイトルを原題に合わせて変更して復刊してくれませんかね。)


何度も観ている『ストーカー』に対して、『鏡』はようやく2回目(もしくは3回目)の鑑賞。夢と現実、過去と現在を重層的に描いた映像にまたしても幻惑させられた。


2009.04.27 Monday

キーシン ピアノ・リサイタル 2009

 エフゲニー・キーシン ピアノ・リサイタルを聴きに行ってきた。
キーシン東京
実は今月はキーシン月間で、横浜から始まって、全部で5回も通った。そのせいで美術展はお休み状態になったけど。

そのうち、4月26日(日)@サントリーホールの感想を少し。

まずはプログラム。

セルゲイ・プロコフィエフ
   バレエ「ロメオとジュリエット」からの10の小品 Op.75より
     少女ジュリエット、マキューシオ、モンタギュー家とキャピュレット家
   ピアノ・ソナタ第8番 変ロ長調 Op.84「戦争ソナタ」

フレデリック・ショパン
   ポロネーズ第7番 変イ長調 Op.61「幻想ポロネーズ」
   マズルカ Op.30-4、Op41-4、Op.59-1
   12の練習曲 Op.10より
     第1番 ハ長調
     第2番 イ短調
     第3番 ホ長調「別れの曲」
     第4番 嬰ハ短調
     第12番 ハ短調「革命」
   12の練習曲 Op.25より
     第5番 ホ短調
     第6番 嬰ト短調
     第11番 イ短調「木枯らし」


なかなか心憎いプログラムだ。前半のプロコフィエフでこの作曲家の独自の魅力を緩急自在の柔らかさと力強さでみせ、後半のショパンで美しい旋律ときらびやかさをみせる。
「戦争ソナタ」のような長いソナタから、「別れの曲」のようなポピュラーな曲まで、それぞれ新鮮な喜びを与えてくれる。
神童のままで終わることなく、確実に巨匠への道を歩み続けるキーシン。次の来日も3年くらい先になるのか、ぜひさらなる成長と意欲的なプログラムを期待するよ。

そしてアンコール。

ショパン:ワルツ 第7番 嬰ハ短調Op.64-2
プロコフィエフ:歌劇「3つのオレンジへの恋」より行進曲
ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調Op.66
プロコフィエフ:4つの小品Op.4より 悪魔的暗示
ショパン:マズルカ 第40番 ヘ短調Op.63-2
ショパン:ワルツ 第6番 変ニ長調「子犬」Op.64-1
ショパン:マズルカ 第41番 ホ短調
ショパン:ワルツ 第14番 ホ短調
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調より第3楽章 トルコ行進曲
ブラームス:ワルツ集より変イ長調 Op.39-15

本来のプログラムだけでも十分満足できる質と量なのに、アンコールがなんと10曲。
このうち、幻想即興曲と悪魔的暗示は、それこそ悪魔的なほどに魅力的で圧巻だった。それをアンコールで聴けるなんて、なんと幸せなことか。

アンコールは横浜では5曲だった。それがだんだんと増えていった。サントリーホールでの2回目(22日)から、アンコールの曲と順序の入れ替えがあった。それで全体の構成がさらによくなったせいか、会場の雰囲気がよくて、それがキーシンに伝わったのか、ものすごい熱狂になった。
ところが最終回もそれに負けないものだった。演奏は今回のツアーでたぶん一番、席もよかったのだろうけど、音の美しさも最高だった。日曜日の19時開始、終わったのが22時を過ぎていたけど、ほとんどの聴衆はいつまでも聴いていたいと願ったに違いない。ただ花束や贈り物がちょっと多すぎるかな。それと、ただ声を張り上げたいだけのブラボーも残念だった。そんなブラボーなら、海に向かってやってくれ。

最後に、最初の横浜みなとみらいホールの回について。
キーシン来日のときは、だいたい何回も聴きに行くのだけど、なぜか横浜では、拍手を揃えて先導する人たちがいるせいで、雰囲気がこわれてしまう。アンコールがキーシンにしては少なく終わってしまう原因はそのあたりにあると思うのだけど。
せっかくすばらしい音楽を聴いて愉しい気分になりたいのだから、会場の雰囲気をみんなでよくしませんか。そうして、みんなが一体になったとき、さらにすばらしい瞬間に遭遇できそうな気がするから。

2009.02.11 Wednesday

上原彩子ピアノ・リサイタル

 上原彩子ピアノ・リサイタルサントリーホールで聴いた。

上原彩子ピアノ・リサイタル

今年最初のライブは上原彩子で、3年ぶり。前回は正直それほど印象に残らなかったけど、今回はとてもすばらしい演奏だった。肩に力が入っていない軽やかなタッチと美しいピアノの音が絶妙のバランスを保ち、とても魅了された。

上原彩子プログラム
現代曲を2曲も取り入れた意欲的なプログラムだったけど、メリハリがあって飽きることがなく、充実していた。
現代曲は取っ付きにくい印象があって、これまであえて聴いたことがなかったので、一柳慧もグバイドゥーリナもまったくの初めて。

最初の曲が一柳慧<ピアノスペース>。2001年作曲ということで、まさに現代曲。始まる前は、眠ってしまうのでは心配したけど、とくにそういうこともなく、意外に聴けるものだなと思いながら興味津々に聴いた。

続いて、グリーグ「抒情小品集」から6曲と、グリーグ<ピアノ・ソナタ ホ短調>(Op.7)。情感豊かなグリーグ作品の情景が目に浮かぶようだった。

後半はまず、グバイドゥーリナ<シャコンヌ>。1962年の作ということもあるのか、取っ付きにくさはまったくなく、緩急が刺激的な魅力的な曲で、素直に感激した。現役の作曲家なので、これ以降、どう変化しているのか知るのは恐い気もするけど、もっとほかに聴いてみたくなった。

最後は、プロコフィエフ<ピアノ・ソナタ第8番 変ロ長調>(Op.84)。プロコフィエフのピアノ・ソナタの頂点を成す「戦争ソナタ」のひとつ。艶やかな演奏で叙情性豊かな曲のさまざまな色をみせてくれた。前の曲に戻るけど、このソナタを聴いたことで、グバイドゥーリナはやはりロシア・ピアニズムの系譜にあるんだなあという印象を強く持った。

アンコール曲は、リスト<愛の夢 第3楽章 変イ長調>リスト<超絶技巧練習曲 第5番 鬼火 変ロ長調>ラフマニノフ<24の前奏曲 第6番 ト長調>の3曲。


サントリーホールというすばらしいホールのおかげもあるだろうけど、上原のテクニックとピアノの美しい音に包まれ、大満足のリサイタルだった。僕だけでなく、多くの聴衆が満足している空気がホールを満たしていた。やはりライブは最高!

以前の記事で書いたと思うけど、今年はわりとピアノを聴く回数が多くなりそう。コンサートについては気が向いたときだけ感想を書くというスタンスで、これからもいきます。
そうそう、今さらながら、昨年のベストは、感想は書いていないけど、12月8日、東京オペラシティ・コンサートホールでの「ワディム・レーピン ヴァイオリン・リサイタル」でした。



2008.10.11 Saturday

ソフィア国立歌劇場《仮面舞踏会》

ソフィア国立歌劇場のオペラ、ヴェルディ《仮面舞踏会》を上野の東京文化会館で観た。
「大琳派展」をみたその夜。

ソフィア国立歌劇場_仮面舞踏会

18世紀のスウェーデン国王グスタフ3世暗殺事件を題材にしたオペラで、陰謀と予言と恋の誤解が絡み合うストーリー。舞台はボストンに置き換えられている。

次から次へと耳に心地よい旋律が出てきて、《仮面舞踏会》をヴェルディの最高傑作だという人がいるのもうなずける。物語そのものはいまいちだと思うけど、歌と音楽と物語が緻密に交錯してドラマ性は高い。
印象的だったのは主人公の総督リッカルド(テノール)を歌ったカメン・チャネフ。すばらしく張りのある、よく通る声がよかった。メイン3人のうち、ほかの2人が体格がいいので、総督がかなり小さく見えたけど。
ヒロインのアメーリアを歌うのはマリアナ・ツヴェトコヴァ(ソプラノ)。佐藤しのぶの回もある。


今年のオペラは、1月のマリインスキー・オペラ《イーゴリ公》、9月のプラハ室内歌劇場《セビリアの理髪師》に続いて3回目。こんなにオペラを観た年は今までなかった。今回確認できたのは、やはりオペラも音楽なんだなということ。
バレエでも、チャイコフスキーの3大バレエはやはり音楽が圧倒的に素晴らしいから、バレエの楽しさをさらに高めてくれるけど、ジゼルあたりになると、音楽のしょぼさに眠くなる。

ちなみに来年はピアノの予定がいくつか入っているので、ピアノ・イヤーになるのがすでに確定。全部の感想は無理そうだなー。

2008.09.28 Sunday

プラハ室内歌劇場《セビリアの理髪師》

プラハ室内歌劇場のオペラ、ロッシーニ『セビリアの理髪師』を所沢市民文化センター ミューズアークホールで観た。

セビリアの理髪師

ミューズは初めてだったけど、アークホールはなかなか立派でおしゃれなホールだった。
もともとオペラなどの上演は想定されていないのか、幕がなく、管弦楽団も客席と同じ高さに張り出していたので、ちょっとどうなのかなと思ったけど、なんか親密感があってかえってよかった。
マルティン・オタヴァの演出はそれを意識したものなのか、それとももとともそういう演出だったのかわからないけど、客席を自由に使って奇抜で楽しいものだった。幕がないところも、舞台装置の移動をあえて見せることで観客に知らせるのだけど、スムースに流れに乗っていたのでまったく違和感がない。

プラハ室内歌劇場管弦楽団の演奏は奏者の技量の高さが十分に感じ取れるもので、とてもよくまとまっていた。マルティン・マージクの指揮も小気味よくて好感が持てた。歌手たちとの絡みもあって面白かった。
歌手たちは慣れているのか余裕があって安心して見ていられた。
個人的には、アルマヴィーヴァ伯爵を演じたオトカル・クレイン(テノール)と音楽教師バジリオ役のイヴァイロ・グベロフ(バリトン)が、とくに声に伸びと艶が感じられて気に入った。

演出は笑って楽しんでもらうために十分に練られたもので、群像喜劇を観ているような緊張感とリズムがあったので、心から楽しんだ。2幕の展開がやや性急だったのが、唯一残念な気がしたところだったけど、それもちょっとしたこと。
観てよかったと思える楽しいオペラ・ブッファだったので、所沢まで足を運んだ甲斐があった。

2008.06.08 Sunday

東京アカデミッシェカペレ:ウェッバー『レクイエム』

東京アカデミッシェカペレ第35回演奏会すみだトリフォニーホールで聴いた。

東京アカデミッシェカペレはオーケストラと合唱団を抱えるアマチュア団体。今回初めて機会があって聴いたのだけど、レベルの高さに驚いた。アマにもいろいろあるけど、これだけの演奏ができるとは正直期待していなかった。
ホールも初めて。開演前に座っているとき、客席が低すぎるように感じたのだけど、始まると、逆に舞台を見上げるようだった。錯覚なんだろうけど、舞台が斜めになって客席に向かって落ちてくるように見えて、忍者屋敷でだまされたような奇妙な感覚だった。途中で気持ち悪くなんじゃないかとやや不安になったけど、まったくそういうことはなかった。演奏に集中できたせいもあるかも。

東京アカデミッシェカペレ第35回定期演奏会

プログラム
ヴェルディ:歌劇『シチリア島の夕べの祈り』序曲
ベートーヴェン:『交響曲第2番 ニ長調』op.36
アンドルー・ロイド=ウェッバー:『レクイエム』
指揮は時任康文。

ウェッバー(ウェバー)は『キャッツ』などのミュージカルで知られる英国の作曲家。
この『レクイエム』は亡き父に捧げられた。

オーケストラからヴァイオリンのパートが省かれ、代わりにボーイ・ソプラノが加わっている。作曲者いわく「ボーイ・ソプラノがヴァイオリンと同じ音域」。
ボーイ・ソプラノはTOKYO FM 少年合唱団から3人の少年が出演し、魅力的な声を披露。ボーイ・ソプラノはある時期の少年しか出せない声という儚さが魅力なのかもしれない。
ソプラノ:釜洞祐子
テノール:小原啓楼
オルガン:井上圭子

初めて聴く曲だったので、予備知識なし。
現代的な美しい旋律のなかに不協和音が響きながらも、とても静かな印象。作品に込められた祈りがホールを覆う。
オーケストラと合唱に、オルガン、ハープに鳴りものが加わったりして、実は見ているだけでも結構楽しめる。鳴りものは場所の制約もあって行ったり来たり。
騒々しくなったり、静かになったり、そこにか細いボーイ・ソプラノが美しい声を響かせ、強い印象を残す。
1時間程度の長さをまったく感じさせない堂々たる作品。予想外にいいものを聴かせてもらった。

2008.01.21 Monday

映画「レンブラントの夜警」

映画「レンブラントの夜警」を、新宿のテアトルタイムズスクエアで観た。

レンブラントの夜警

退屈だった。とくに前半は何度も睡魔が迫ってきた。

新聞の映画評なんかを読んで、面白そうだから観ようと思ったのだけど、《夜警》の謎に迫っている部分はこの映画の中心的な部分ではないし、解き明かされたというふうにも感じられない。レンブラントや《夜警》、絵画に興味があるので観てみたい、という方は失望する確率が高い気がする(自分のことだけど)。
ピーター・グリーナウェイ監督の映画を観たことがあれば大丈夫なのかな。この監督のことを事前に調べてみてから、観るかどうか決めた方がいいかもしれない。

あえて星をつけるなら、思い切ってゼロ。
「いただきました! 無星です!」

2007.09.25 Tuesday

ゲルネのシューベルト歌曲集《白鳥の歌》を聴いて

マティアス・ゲルネ「シューベルト三大歌曲集 3 《白鳥の歌》」東京オペラシティ コンサートホールで聴いた。
 ・ベートーヴェン:歌曲集《遙かなる恋人に寄せて》 op.98
 ・シューベルト:歌曲集《白鳥の歌》D.957
ピアノ伴奏はアレクサンダー・シュマルツ。

ゲルネ「白鳥の歌」チラシ

ゲルネのバリトンの美しく艶やかで情感あふれる歌声と豊かな声量、それにシュマルツのやさしく歌うようなピアノがお互いを高めあっているようで、とてもすばらしい出来栄えだった。拍手の熱狂がそれを物語っていた。ゲルネが歌う同じプログラムのCDを聴いて予習していたのだけど、生はその何十倍も感動的だった。
シューベルト最後の歌曲と考えられている「鳩の便り」もアンコールで聴くことができてうれしかった。《美しき水車小屋の娘》と《冬の旅》も聴きたかったな。

コンサートは久しぶりだったのだけど、またちょくちょく出かけたいと思った。連れ合いが残業続きで、平日に予定を入れられないし、週末は美術展に出かけたり、用事があったりで、なかなかタイミングよく行けないのだけど。

音楽と美術の関連性のことがよくいわれる。音楽に親しむことで、絵画をみるときにいい影響がでるのではないかと期待してるのだけど、どうなんだろう。絵をみると必ず音楽が響く人がいるようなことを聞いたことがあるけど、残念ながら私はそういうことがあまりないし。音に色がついて見える人もいるそうだが、どういう世界なのかな。

ところでシューベルトは当時ほぼ無名だったとか。流行に乗っていなかったかららしい。でも、当時流行の作曲家たちのことを後の世では誰も知らないけど、シューベルトは偉大な作曲家として知られる。画家の場合もよくあることだけど、芸術家の人生って難しいなあ、とあらためて感じる。今もてはやされている美術家たちの将来はどうなるのだろう。

2006.12.29 Friday

「HOKUSAI〜北斎の宇宙」をみて

日本橋HD DVDプラネタリウム「HOKUSAI〜北斎の宇宙」をみてきました。チケットを買って上映時間までそのあたりを散歩。風が強くて結構寒かったですが。

北斎の宇宙
「世界最高峰のプラネタリウムが映す、満天の星と北斎の世界」
北斎の世界の一端が楽しめることは確かですが、満天の星はどうでしょう。プラネタリウムだからと期待していくと、ちょっと物足りないかもしれません。

北斎の作品がかなりの迫力と臨場感を持って迫ってきます。飛沫がかかるような滝が現れたかと思うと、《富士越龍》から龍が抜け出して天を駆け巡り、そして星の世界へ。
緒方拳の声には北斎が乗り移ったようでした。

天を舞う龍
北斎に興味があれば愉しいひとときを過ごすことができると思いますが、物語の構成はどうなのかな。エンドロールの音楽のせいで、余韻を楽しむまでには至らず、という感想です。もう少しの時間みせてくれてもいいのに、と贅沢なことを思いました。
余談ですが、かなり前に小布施の北斎館で《富士越龍》をみた記憶が甦ってきました。そして、《八方睨み鳳凰図》もどこかの寺でみたような、と記憶を呼び起こしていると、曹洞宗 梅洞山岩松院でした。迫力に圧倒されたことが昨日のことように感じます。

さて、現在に戻ります。
帰りに半券を回収され、代わりに1月から新たに加わるプログラム「星空の贈りもの」の招待券をもらえたので、次回はプラネタリウムらしい<星空>に出会えるかもしれません。ただ、「神秘的な光と音の世界」という<音>の部分に一抹の不安がよぎるのですが。

このあと、日本橋三越本店の1階中央ホールで年の瀬のイベント「第九」があることを散歩のときに知ったので、三越に急ぎました。オーケストラはなくても、2台のピアノと200人余の合唱団が年の瀬の雰囲気を高めてくれました。
ここの三越には初めて来たのですが、「ルネッサンス式建築」として「東京都選定歴史的建造物」に選ばれているのですね。重厚で趣きのある建物というだけでなく、内部も歴史を感じさせるものがそこここにあって、レトロな雰囲気が漂っていました。とくにホール上部に聳える佐藤玄々《天女(まごころ)像》の絢爛さに目を奪われてしまいました。「第九」を聴きながら眺めていました。
日本橋三越本店の歴史再発見
天女(まごころ)像
例年は忙しくしている年末なのに、日本橋あたりに出かけてのんびり過ごしたので、なんだかいい気分でした。最後はそば屋で締めくくりました。

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